期待度♪♪♪
喜劇か悲劇か
「幻蝶」を巡る物語として真っ先に思い浮かぶのは、往年の特撮SF番組『ウルトラQ』の一編『変身』だ。幻の「モルフォ蝶」を発見した男の奇怪な運命を描いたエピソードだったが、「蝶に魅入られた男」の物語は、たいていはその蝶の神秘性に影響されてか「悲劇」となることが多い。映画『コレクター』もまた然り。
現実でも、俳優の故・岸田森は有名な蝶マニアだったが、人間・岸田森自身が神秘のベールに包まれた存在だった。
古沢良太は、これを「喜劇」として描くつもりなのだろうか。『ALWAYS』シリーズは決して彼の本領が発揮された作品だったとは言いがたい。原作のシバリが、彼が腕を振るうのをどこかでセーブさせていた。古沢脚本の代表作はもちろん『キサラギ』である。今回、初のオリジナル戯曲が、『キサラギ』を超えることができるのかどうか、それを確認したい。