実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/15 (日) 13:00
思いがけないアレンジに驚かされたが、その結果作品は大きく転がり
”イマドキの話”として私のすぐ横に座っていた。
「度胸が無いだけで、同じこと考えてるくせに」とヘッダが笑っているようだ・・・。
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い お薦め。
重苦しい雰囲気の中での濃密な会話劇。1890年に書かれたイプセンの戯曲を約130年後の現在に表す。勿論 タイトルにある女性が主人公であり、台詞にある「(他)人の人生を狂わせてみたい」は、極めて自己中心的で冷酷な性質の女性と言えよう。一言でいえば<悪女>である。そんな女性を描いて と思っていたが、女性に限らず人は誰しも持っている厭らしい面を抽出し、人の本性を抉る。
外国の古典の部類に入るだろうが、現代風にテキレジしており分かり易い。少しネタバレするが、例えばヘッダ・ガブラーの夫で学者のイェルゲン・テスマンのライバルのエイレルトが書いた原稿の件、「コピーを取っていなかった」等、すんなりと会話が入ってくる。退屈を持て余し、その暇つぶし として人を惑わし貶めて愉悦に浸る。まさに他人の不幸は蜜の味、それを見て感じて楽しむ。しかし、観ている我々に そんな気持は微塵もないと言い切れるだろうか(自分が下卑ているだけか)。
心の奥底に蠢くどす黒い感情…ヘッダ(平子亜未サン)の醒めた表情で淡々と事を運ぶ不気味さ。どこまでもお人好しな夫 イェルゲン(箱田暁史サン)、そしてエイレルト(江間直子サン)の情緒不安定だが、芯の強さも感じさせる、3人の人物造形が絶妙のバランス。この3人は勿論、役者陣の好演が物語を支えている。
全体的に薄暗く 重苦しい雰囲気を醸し出し、赤ん坊や銃声、時折 雨の音が聞こえてくる。その音響は必ずシーンと緊密な関係にある。場面転換の時には荒々しいピアノの音が響き、不安と緊張を煽る。観応え十分。
(上演時間2時間 休憩なし) 追記予定
実演鑑賞
満足度★★★★
本作どこかで観たと思っていたのは思い違いか(戯曲を前半だけ読んだ、等あり得る)、、あるいは毎回驚かされるハツビロコウ流アレンジによるものかも・・。
どちらにしても細部(特に後半)は記憶になかった。
以前「触れた」時の人物イメージとはまるで異なる人物が登場し、書かれて百年を経た戯曲の上演とは思えない現代性と、物語構築の精妙さがやはり印象に残る。
二日後に落ち着いて当日パンフを眺め、主宰の弁を見ると、ヘッダの戯曲をある軸を通すべく松本氏が「書いた」と書いてある。毎回気になっていた優れたテキレジだが、今回はより大胆に書き直したという事か。
特殊な人物としてのヘッダではなく、ごく普通の女性としてヘッダを捉え直した、との弁であるが、近代の憂鬱を捉えたイプセンの洞察による人物造形は、当時は(周囲の反応等で)センセーショナルに演出するに値しても、現代的視点で捉えれば「普通にいる」のかも。もっともヘッダに象徴された人間の「善悪の彼岸」を求める性質は、今も大きなテーマであり続け、収縮に向かう日本の思想状況では強力なアンチに。(三島由紀夫の価値はこうして時代に逆照射される。。)
変わる事なく息詰まる緊迫劇を作るハツビロコウである。
今回は原作を読みたくなった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
登場人物の設定に若干のアレンジが加えられ、思考や言葉も現代風にされ、そのため現代的なストーリーになっていて新鮮に感じられた。イプセンの原作よりこちらの方が良いと思うほどだ。