冠婚葬祭 公演情報 冠婚葬祭」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ある曲とあるシーンで胸がいっぱいになって落涙しながら拍手しました。音楽と演劇の力をどちらも同じくらい感じています。空間としても、作品としても考え抜かれていました。

    終演後ゲストパフォーマンス、リリセwith仲間たちのサイファー読書会もとてもとってもよかった。言葉と音楽、そしてそれを持つ心身が対等であり、平等であること。誰しもがライターにもスピーカーにもシンガーにもなれるということを信じ祈るようなパフォーマンス。
    またどこかで必ず観たいと思いました。

    美しく、高くなるほどに強さが光る鈴木さんのボーカル、神保さんのギターと廣戸さんのベースが刻む不可欠なビート、そして心拍のような心地よさを鳴らす中野さんねマリンバと鐘々江さんのヴィブラフォン。胎内から聞く外の音はこんなだったかもしれないななんて思っていました。

    俳優の力と技も感じました。
    星さんの包容力とそれでいて孤高の存在感は旅人そのもの。中嶋さんの身体は地を這うときこそ宙に浮いているかのようで、熊野さんの身体は動く度に生きる喜びと切なさが弾け出すようで、萩野さんは静かな葬いに心を燃やすようで、みんなそれぞれ一瞬身体が泣いてるようにも見えた。音楽演劇だけど、ダンスパフォーマンスももっと押し出していいくらい素晴らしかった。

    そして、私が思わず涙したのは、高田さんが花瓶に花を活けるシーン。
    歌詞に合わせるのではなくむしろ導くような横顔と所作に胸が溢れた。
    私は応援コメントに「人生のオールタイムベストだ」と書いたけれど、こんなふうに大切な誰かにもらった花束をほどいて、一つずつ慈しむように時間をかけて活けること、そして例えば窓辺なんかに飾るようなひとときこそが冠婚葬祭に匹敵する、いや、もしかしたら勝る人生のベストタイムであったりするのかもしれない。高田さんの横顔と仕上がっていく祝福の花瓶を交互に眺めながらそんなことを思っていました。思っていたら、自分がそれを忘れていたこと、すっかり蔑ろにしていたことを一緒に思い出して、涙が出てきてしまったのです。
    我が家には毎月お花の日があるのに私は多分長らくこんな顔をして活けてなかった。
    花を買って帰るには時間が遅すぎたから家に帰ってまず花瓶を洗いました。

    起承転結で構成された物語や演劇には慣れていても、冠婚葬祭を紡ぐ音楽と演劇にはきっとそう出会えない。案の定、祭りの後は少し寂しいけれど、それも含めての人生を眩しく描いた音楽と演劇でした。日本ならではの文化が要所要所に忍ばされているのもよかったです。
    そして、照明(松田桂一さん)を堪能する作品でもありました。本当に素晴らしく空間を照らし、灯し、縁取られていました。あと、星さんが鬼のお面を手にした時は、「もしや、まだ鬼に魅せられてる?」(1年前の条件の演劇祭参照)と少し笑いました。
    作・演出の神保さんにも改めて大きな拍手を。ゲストパフォーマンス含め、演劇シーン、まだまだ進化する、またひとつ素晴らしい世代が彩っていく、と確信するようなステージでした。
    墨田区の人は500円で観られるそうなので、是非墨田区の人にも広く伝わりますように。
    もちろんそうじゃない人にも。
    すみだパーク遠いと思うかもしれないけれど、足を運んで本当によかった...。子どもたちにも見せたかった、聴かせたかったな。多分まだ感想書きますが、とにかく生きるということを最高に祝福され、労われ、激励された気持ちです。祝福し、労い、激励したい人の顔が浮かびました。

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