実演鑑賞
満足度★★★★
これとこれをそう結びつけるのか、これがそんなことに繋がるのか、という感嘆や驚きがありつつ、その何を書いても核心に触れてしまうから書けないのが悩ましい!(やら凄いやら!)
ダークファンタジーのようで、その実"親ガチャ"をはじめ、リアルな現代社会にアクセスした物語で、その繋げ方がまさに池田節。岸田戯曲賞受賞後初の新作でもある本作、池田さんの作家性の新たな側面を覗けた様な観劇でした。
美術や劇構造の個性、これまでの歩みで扱ってきた題材の要素が端々に散りばめられつつも、ゆうめい作とはまた別のモーターで動いているような。
ヒヤッとさせるところと笑わせるところが双方きっちり押さえられていて、かつ4名の芸達者な俳優が小さな球も逃すことなくクリーンヒットを。一人の人間が舞台に立つことで生じるエネルギーをまざまざ魅せられ、それぞれの身体性にうなりました。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/09/17 (火) 14:30
座席1階
岸田國士賞を受けた池田亮が作・演出に加え美術まで担当した舞台。開幕前に、舞台中央に鎮座する「ガチャガチャ」ボール(球体)がたくさん詰まった塔を間近で見学できる。
舞台は日本近海の火山爆発でできた島でレアメタル発見され、世界中から多くの資産家が移住し、その利権を独占した日本人が独裁国家を作った、という設定。その国家の現代美術館のロビーにガチャガチャの塔「sphere of sphere(球体の球体)」が展示されている。なぜ、作家がこのようなオブジェを制作したのか、なぜ、ガチャガチャなのかというところも物語が進行すると明らかになってくる。
日本近海の日本人による独裁国家という設定がおもしろいが、この会話劇は結構難解である。作者の頭の中の妄想がかなり高度なのだろう。ついていくのにやっとという感じだ。人によっては「分かりにくい」と感じたかもしれない。
大統領やキュレーターをホログラムとして描き、指先の動作で早送りや巻き戻しをする場面が続くところがある。巻き戻しや早送りに対応して動く役者が、ストップモーションも含めて非常にそれらしい動作を披露して笑いを取っているのはさすがだと思った。冒頭とラストシーンのダンスもよかったと思う。
数十年後の未来を描いているが、このような世の中が来るのかどうかは分からない。物語の中身に文句を付けるわけではないが、生命の誕生を手玉に取るような世の中にはなってほしくない。