マリア・ルーズ号の夏 公演情報 マリア・ルーズ号の夏」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    チケットには整理番号順に入場と書いてあるのだが、並んだ順の入場だった。まあそれでこそKAAT。
    演者も観客も年齢層高め。市民劇団、社会人劇団の背負うカルマだが、一人若い綺麗な女優がいて驚いた。ブラジル人会社員の役、守倉紡(つむぐ)さん。

    主演の大江卓役は坂下優一氏。小比類巻貴之と島田秀平を足したような長身。
    盟友・林道三郎役はなっきー氏。デヴィッド・ラム似。
    山東一郎役は吉浜直樹氏。ドスを効かせるとハマコーっぽい。
    ヒールの船長へレイロ役は宮本悠我氏。土屋公平っぽい。
    船長の弁護人ディケンズ役は斉藤れいこさん。森口博子っぽい。この弁護人軍団(優木かおるさん、Kiccoさん)を女性にした点が冴えている。ガルマ・ザビみたいな制服姿。

    1872年(明治5年)7月、ポルトガル領マカオからペルーに向かっていたマリア・ルーズ号が暴風雨に遭い帆先を破損、修理の為横浜港に入港。積み荷は騙されて奴隷として売り飛ばされた清国(現・中国)人231名。救けを求める彼等の為に神奈川県副知事・大江卓は日本初の国際裁判で争うことに。

    MVPは非人役の勝碕若⼦さん。流石。

    ネタバレBOX

    前半はちょっとキツかった。コントみたいな稚拙な表現。子供向けか?中盤、女郎(櫻井マリアさん)の独り語りのエピソードから風向きが変わった。女郎屋に売られて好きな男と別れる最後の日の思い出。大切な場面なのに藪蚊にお尻を刺されて痒くて痒くてたまらない。抱擁もそこそこにさっさと離れて独り尻を掻くみっともなさ。その後尻を掻く度にあの人のことを想い出す、妙にリアルな述懐。
    そして大江卓が三人の人間と対峙するシーン。フェリス女学院を創立したキダー女史(市麻充子さん)、非人の老婆(勝碕若⼦さん)、立ち退きを迫られて怒声を上げる漁師(大西真愛さん)。神の道を滔々と説く美しさ、徹底した差別を浴びて生きてきた業苦、町の開発の為に郷里を埋め立てられる不条理。無言でひたすら頭を下げ続ける大江卓。非人の老婆と相対する時は余りの悪臭で鼻を摘み、終いには耐え切れず反吐を吐いてしまう。凄く印象的なシーン。綺麗事ではない、現実との向き合い方。

    ラスト、裁判に勝利し清国人を解放することに成功した大江卓。ディケンズはお祝いにと、横浜の未来を見せてやる。このエピローグで現在の横浜が抱える外国人差別問題を一つ一つ見せ付ける。自分的には蛇足に感じたが、作家にとって重要なパーツなのだろう。人間は自由で平等でなくてはならない。如何なる差別とも戦ってゆかなければならない。矛盾と不合理に絡め取られ、両論併記の罠に迷い込む。それでも構わない。絵空事、綺麗事でも妄想でも構わない。人間は自由で平等でなくてはならない。そんなメッセージ。

    ※稲川角二(聖城)を扱ったらどうだろうか?ヤクザとしてではなく人間として。非常に扱い辛い存在だが、この人を無視して横浜の歴史は語れない。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/08/10 (土) 17:30

    120分。休憩なし。

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