劇団サンスユ「奇妙旅行」 公演情報 劇団サンスユ「奇妙旅行」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    いろんな思いがあふれる。
    今、芸能も家電も勢いに乗っている韓国(←でも絶対、負けねーぞ!笑)。

    エゴマの研究とKARAのライブで渡韓する時には、いつも大学路 (대학로/テハンノ)で何本か芝居を観ている。

    この大学路 (대학로/テハンノ)。実際に計測したわけじゃないけど、下北沢から池ノ上くらいの地域に、100軒以上の劇場が密集しているという演劇好きにはたまらない街なのだ(日本でやるなら、東大の駒場キャンパスを、演劇街に造り替えればOKだぞ!笑)。

    ま、実際には演劇好きだけじゃなくて、会社帰りやデートにブラっと寄る感じの人も多い。チケット料金(公演にもよるけど、当日券がかなり安い)や夜公演の開演時間(日本よりも遅い)は、日本もマネして良いかもしれない。映画のような感覚で、気軽に演劇を楽しめるのがテハンノのイイとこ。

    日韓の演劇交流もそこかしこで行われるようになった。
    で、第二回日韓演劇フェスティバルの参加作品『奇妙旅行』を観に、東池袋のあうるすぽっとへ。

    全編、韓国語での上演(字幕)。
    ボクは、韓国語を習う前から、その音の響きというかリズムが好き(逆にハングル文字は、生理的に怖い感じ)。
    バリバリの韓国演劇を、池袋で観られる・・・エエ世の中になったもんや(ま、日本の国力が落ちた証左なのかもしれないが)。

    さあ、開演。

    ネタバレBOX

    この『奇妙旅行』。

    ワンツーワークスによる舞台は観ていないのだが、脚本は読んだことがある。そのテンションの高さというか・・・テーマは重暗いんだけど・・・描写の鮮やかさに、韓国人が料理したら、さらに鮮やかで(ベタで)、カッコよくなるのかな、と思っていた。

    それが、意外にも・・・あっさりと、料理してきた!
    まるで、最近のチョンダンドンのサムゲタンのよう。
    テハンノでも感じていたこととはいえ・・・喜怒哀楽をはっきりと表現する芝居だけでなく、このような「あっさり味」をも手に入れつつあるのか(この動きが良いことなのか否かは別にして)。。。

    冒頭は、被害者遺族の父娘によるコントのような場面が繰り広げられる(このコミカルな場面・・・観劇後には、かなりグッとくる場面になるのでありますが)。

    ちなみに、この冒頭からして、ワンツーワークス版は、脚本から判断すると、かなり色彩的にも演技的にも鮮やか&ドギツク表現している(はず)。
    でも、韓国版は、あくまでも軽やかに表現していた。

    途中から、被害者遺族と加害者家族とが絡まりあってから、セリフから表情から、一気に力を帯びていくのだが・・・やっぱり、日本の演劇と比較しても、かなり感情は抑えられていた。

    観る人が観れば、怒哀の感情が起こりにくいかもしれない。

    でも、2度3度の観劇をすれば、このあっさり感が、実にイイ味を出してくるんじゃないかなあ(テハンノでは、小劇場でも数ヶ月のロングランが少なくない)。

    観劇後は、テーマに対する思いだけではなく、演劇を観た後の高揚感もあったなあ。。。

    これからも、どんどん日本に来てほしいし、日本の劇団も(作家・演出家も)韓国でのプレイに挑戦してほしいなあ。
    日本で韓流ドラマが流行ったということは、感性は似ているんだろうから・・・この『奇妙旅行』のように、日本の脚本をどんどん韓国に「輸出」してほしい。

    いろいろな思いがあふれる舞台でした。

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