満足度★★★★
古典からモダンへ
伝説のダンサー、ヴァツラフ・ニジンスキーが踊った作品の上演で、いかにもバレエ的なクラシカルなものからモダンなものまで、バラエティ豊かな4演目でした。
『薔薇の精』
男女デュオの小品で優しい雰囲気が漂っていました。
タマズラカルさんの演じる薔薇の精は芯がしっかりした安定感のある踊りでした。吉川留衣さんが演じた少女は健康的な感じがありました。
『牧神の午後』
正面を向かずに側面ばかりを見せ、回転や跳躍など躍動感のある動きも使わず、さらに自慰行為を露骨に表現するといった、反バレエ的な振付で有名な作品で、今観ても新鮮でした。古代文明を思わせる雰囲気が素敵でした。
『レ・シルフィード』
オーケストラに編曲したショパンのピアノ曲の調べに乗せて、真っ白な衣装の女性アンサンブルと1人の男性ソリストによって柔らかな空気が表現されていました。美しかったのですが、いまいちインパクトに欠ける印象がありました。
『ペトルーシュカ』
音楽も振付も同時に複数の要素が存在するモダンな作品で、『薔薇の精』や『レ・シルフィード』と同じ振付家とは思えない程、新しい印象になっていました。モダンさと素朴さのバランスが絶妙で、楽しさと悲しさが表現されていました。
マラーホフさん演じるペトルーシュカの寂しさを感じさせる滑稽さと、佐伯知香さん演じるバレリーナ人形の可愛らしさが素晴らしかったです。
踊りは満足出来るレベルでしたが、オーケストラの演奏はミスが多く、少々頼りげなかったのが残念でした。
マラーホフさんは牧神とペトルーシュカを演じ、とても素晴らしかったのですが、どちらも個性的な役柄でバレエらしい動きがあまりなかったので、正当派な役での姿も観たかったです。
満足度★★★★
古いのに新しい
ニジンスキー作品は100年前とは思えない新しさを感じる。本公演は何と言ってもマラーホフ。表現系を躍らせたら世界のトップクラス。人形のもの悲しさが素晴らしい。東バでは小出領子が抽象音楽に対する絶妙な表情が素晴らしかった。