ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録- 公演情報 ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    独自の作風で、いつの間にか居場所が決まってきた不思議な作家がもう、30年も手掛けている「ふくすけ」(1991年悪人会議で初演)の2024年版。世にある暗い現実、親殺し、子捨て、階級差別、障碍者差別、地域差別、性犯罪。それが生み出す差別用語や暴力が飛び交う不穏なダークな舞台なのに、大きな商業劇場で堂々と一月公演ができ、しかもそこから人気俳優も生まれる。満席の観客は笑いながら楽しむ。なんだか劇場が丸ごと異常者の収容所になった趣なのに、別の視点から見れば、まぎれもなく今そこにある社会とそこに生きる人間のドラマである。キワの話を取り込むという点では終わって一月もたたない都知事選も登場する。ユニークな現代劇なのである。なんだか「刺さる」芝居なのだ。
    主演は阿部サダヲ。今の時代が歩いている俳優である。大人計画のガラと演技の微妙な味でふつうの芝居には登場しないキャラクターが次々と登場する。今回は俳優もそろった。
    新宿の新しい東急の小屋はこけら落としからほぼ一年半。あまり型にはまらず、既成の名作再演に頼ることもなく、次々にいろいろな趣向のステージを見せてくれた。
    「ふくすけ」もチケットは売れていないと言われてきたが来てみれば上の方の階は見えないが1,2階はほぼ満席ではないか。それに観客層の幅は広く厚い。「ふくすけ」は新宿らしい行儀の悪さと活力があってこの劇場の出し物の中央に来るものかもしれない。
    芝居としては多彩な俳優たちもよく生かされているし、御簾内張りに邦楽の生音楽が入っていたり、仕込みがかかっているだけのことはある(12,00円も納得するが)。
    細かいことだが、字幕が読む間もなく消えてしまうのは、どうかと思う。

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