実演鑑賞
満足度★★★
テレビドラマなどにも活躍の場を広げつつある俳優・川久保晴の自作自演一人芝居企画。コメディエンヌの賞であるエミィ賞のグランプリを受賞しているだけあって、一人芝居三本立てをバリエーション豊かに見せて飽きさせない。全体を通して母への想いという一つの軸を見せる構成にも好感。ただ、笑いとシリアスのバランスというか、組み合わせ方にはもう少し工夫が必要だったように思う。三本立てのどれも、そして全体を通しても、前半の笑いから後半のシリアスへ(しかも重め)という流れになっていたのだが、両者が分離したままやや唐突にモードが切り替わっているような印象があり、観客として笑いもシリアスもどちらも受け取り損ねてしまう瞬間が少なからずあった。笑いながら泣いてしまう、真剣なのに滑稽、というのはある種の人生の真理ではあると思うので、それをまざまざと感じられるような舞台をこの先の活動に期待したい。