象 公演情報 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-3件 / 3件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    前説によると、つかこうへいが別役実を尊敬していてこの「象」からもたくさんパクっているという。この舞台はそれを強調してつかこうへい風の演出になっている。もっとも普通に演出した「象」を観たことがないのでどこがオリジナルでどこが「つか」風なのか正確にはわからないのだが、異常なテンションの高さ、ここぞと入るBGMはこの舞台特有なのだろう。

    さすがに60年前の作品なのでリヤカーに乗ってムシロに座り背中のケロイドを見せてお金をもらうということのリアリティは失われている。若い人はケロイド以前にリヤカーもムシロも見たことがないだろう。題名の「象」はサーカスや動物園の見世物としての象なのだろうか「群盲象をなでる」の象なのだろうか。前者ならストレートに過ぎるし後者なら格好つけすぎだ。

    そしてまたこの舞台は前述の通り「象」の中のつか的要素の研究なのだから反核や被爆者差別といったテーマに重きは置かれていない。そして別役作品と言っても初期のもので不条理劇ではなく電信柱も登場しない。兄が行こうとしている「あの町」がどこなのかが謎ではあるがとりあえず場所ではなく「見世物として輝いていた昔」だと解釈した。

    観る人を選ぶ舞台で私は選ばれていないなあ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/05/18 (土) 13:00

    座席1階

    9プロで別役作品とは新境地の開拓かな、と思ったが、流れとしては9プロが上演しているつかこうへいに最も影響を与えた劇作家が別役実だということだった。この「象」という作品は別役が25歳の時の作品で、初演が1962年。高野愛の前説によると、つかは「初球革命講座飛龍伝」などでも思いっきりパクっているということで、つかこうへいが相当なリスペクトを払っている劇作家が別役であることは間違いない。まだ、戦争の影が色濃い舞台設定の作品を若き9プロがどう演じるか。ということで上野に向かった。

    舞台上には病院のベッド。これは他劇団による「象」と共通している。被爆者で原爆症を患い入院している男と、訪ねてくる甥。甥もまた、被爆者であり舞台後段で吐血して入院する。男は背中にケロイドを負っており、それを町で見せ物にしていたことが、舞台の進行で分かってくる。だが甥は、そうした「見せ物」としての原爆の記憶は変容していると主張し、男が病院を抜け出して再び「見せ物」として背中をさらそうという試みを止めようとする。

    別役の不条理劇とは趣を大きく異にする物語だが、確かにつかこうへいの香りがすると思う。それは9プロが上演したからでなく、この作品につかが相当入れ込んでいたというエピソードが、その香りの理由を物語っている。おそらく別役の戯曲に忠実につくられた今作の台本。せりふの端々に別役ワールドが感じられるのも、つかこうへいをリスペクトする9プロの舞台らしいと思った。

    「2代目はクリスチャン」のような迫力あふれる舞台ではないが、今作は9プロの新境地になる舞台かもしれない。そうであると期待し、「郵便屋さんちょっと」も見てみたい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    別役実さん25才時の作品
    圧倒的な台詞量
    この公演で役者辞める
    小川智之さんの覚悟が凄かったです
    日曜まで
    お薦め

このページのQRコードです。

拡大