実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/28 (金) 14:00
座席1階
東演、文化座、テアトルエコー、グランツ。各劇団から俳優が一人ずつ集まって作ったユニットの旗揚げ公演。「刺激的な場所、実験できる場所」を求めて集まったという。選んだ戯曲は「その鉄塔に男たちはいるという」。劇団MONOの土田英生の名作だ。
舞台が進むと共に、この男たちがなぜこのような場所でキャンプのようなことをしているのか、なぜ、内輪もめのようなことばかりするのかということが少しずつ分かってくる。場所は戦場と思われる森の中で、部隊の慰問のために訪れた演劇団が戦意高揚の出し物を強いられて、メンバーのうち4人が逃走してくる。ここに、部隊の脱走兵も加わって奇妙な人間関係が出来上がっていく。
とにかくそれぞれかなり個性的な俳優たちだから、見ていて切れがあって面白い。小劇場「楽園」は入ると大きな柱があるので、演出はしにくいと思われるが、客席近くの通路や階段まで使って「偵察」などの場面を醸し出していた。
内輪もめの場面が多いのは、人と人との争いの種を連想させるからだ。つまり、戦争も小さな争いの種がどんどん大きくなって殺し合うのだという戯曲に盛り込まれた主張である。この戯曲を旗揚げに選んだこのユニットが、次にどんな舞台を見せるのかが楽しみだ。