実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/14 (金) 19:00
これすげぇ!!おもしれぇ!!ってなりました。
おっさんたちが踊ってるよ、踊らされてるよ。
ぐいぐい引き込まれて崩されていくけど光も見えて…
なるほど!また観たくなりますね。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/19 (水) 14:00
柱の一つでもある「企業もの」新作。
地面師にハメられた不動産会社の面々を次期取締役選任問題も絡めて(→いかにもJACROWらしい)さらに笑いやダンス(!)まで交えて描き娯楽性もたっぷり。
事前に「9人の慌てる男たち」か?と予測したが概ねアタリ(?)で、なおかつ取締役会場面(池井戸潤ものを想起)では「怒れる男」も。(笑)
そしてある歴史的出来事になぞらえたのも面白かった。
実演鑑賞
満足度★★★★
大企業が地面師グループに50億強騙し取られた実際の事件に着想を得た演劇。
こういう派手な事件を題材にする時は犯人、つまり詐欺師を主人公にそのトリックを持て囃しがちなのだけど、そうはせず被害を受けた会社に焦点を当て、さらにその被害の裏に存在し得る組織の権力構造や内部抗争を物語の核心に据えている点が興味深かった。
もうね、サラリーマン版アウトレイジじゃないですけど、私に言わせりゃ全員悪人ですよ。俳優さんらが達者だからいっそうにアウトレイジ(笑)。戦いはいつも男が始める、なんてよく言うけど、その始まりの始まりは椅子取りゲームなのだと思ったり。誰かよりも少しでもいい椅子に座りたい人々が権力勾配を狡猾に利用し、騙したり騙されたりして、つまり詐欺の裏にいくつもの詐欺がある。
登場人物は幹部クラスの男性のみでそこに女性がまるで出てこない、出てきても会話の「かみさんはさ〜」くらいなところがまためちゃくちゃ風刺がきいていて。
きっと組織でたんまり溜め込んだストレスを家庭でぶちまけても、"男同士の秘密"は決して打ち明けず、女性の人生にも関わる大事なことは何も知らせることなく過ごしてんだなーという感触も含めて、悪しき男社会をリアルに描いていると感じました。土地のことを「女」とか言っちゃうし。
でも、救いようのないところがよかった。
「これが男の生き様だぜ⭐︎」みたいな美化や心酔は全くなくて、愚者として貫かれている。
そこに作家のスタンスを見た気がしました。
それでも、私はやっぱりこうも思わずにはいられない。
あの中に一人でも女性がいたら、幹部の人選に女性が一人でも抜擢されていたら、あの詐欺はもしかしたら防げていたんじゃないか、と。
流石の俳優陣かっこいいなあ〜と思って見つめてた冒頭のダンスシーン、観終わる頃にはすっかりと印象が変わっていた。地位や名声に踊らされている人たち、その滑稽さ。そして、俳優の力。最初と最後も同じシーンなのに景色が反転する。地の正体を巡り、14人の男の"地の面"が暴かれるまで。サスペンフルな作劇の魅力もありました。
映画『走れない人の走り方』ではあんなに柔和な父だった谷仲恵輔さん、見る影なかった...(賞賛の意です!)
実演鑑賞
満足度★★★★★
詐欺師側の登場人物がなく、椅子にスポットライトを当てて「ここに詐欺師が座っている姿を想像して下さい」という演出がなかなか面白い。あくまで視点は詐欺という犯罪ではなく人間組織の暴走に向いているのが明確になった。
実演鑑賞
満足度★★★★
誰もケチをつけられない位に面白い。悔しい程の傑作。
2017年6月に起きた『積水ハウス地面師詐欺事件』を舞台化。55億5900万円を騙し取り、史上最大の地面師事件と呼ばれたもの。その後10人逮捕、主犯格は懲役11年の判決。
タランティーノ&ロバート・ロドリゲス作品っぽいスタイリッシュなノリ。井上ひさしの『日本人のへそ』オマージュ的なギャグもあり、作家も劇団も絶好調。実話故にか余りにも面白い脚本。マーティン・スコセッシ風味で映画化して欲しい。日本で作ると伊丹十三系か高田宏治脚本の東映系になりそうだが。
9人の俳優陣が軽快なステップを踏んでノリノリにツイストを踊る。「自信を持て!自信がないと踊れないぞ!」椅子取りゲームのようなオープニング。
主人公・小平伸一郎氏の鳥好きの設定がまた効いている。『君たちはどう生きるか』の青サギオマージュ。山崎の25年物とか台詞の発想、展開が巧妙。犯人グループは登場させず、いる体で応対するのみ。積水ハウスの人間関係に狙い定めた焦点がズバリ当たった。要点を絞ったタイトな脚本と踊り明かす余白のある演出。実録モノの御手本とはこういう作品のことだ。悩める脚本家監督連中は教えを請いに今作を詣でるべき。好き放題やってやがる。それでいてこのクオリティー。
役者は全員本物。後に伝説になるのではないか?
ゴルフシミュレーターに夢中な会長役・佃典彦氏は宝田明っぽい軽妙なソロ・ダンサー。
取締役入りを狙う星野卓誠(たかのぶ)氏は中村勘九郎、東野幸治系の顔立ち。
MVPは社長役の谷仲(やなか)恵輔氏。前作の中曽根康弘役のインパクトが強過ぎるが、萩原流行風味の怪演。ノリノリのステップに四股を踏む。あとは運さえあればメチャクチャ売れること請け合いの実力。
テーマは『組織と自分』。結局、肝心なのは自分は何を大事に思って生きていくのか?ということ。中島みゆきも歌っている。「お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな!」
裏切られたと泣きべそかく前に気付け。裏切られても許せる人間にしか付いて行くな。ただそれだけの話だ。
本物を観たければ見逃すな。
実演鑑賞
満足度★★★★★
実際の地面師事件がモチーフ。
なぜ騙されたのか、なぜ気がつかなかったのかと、事件が明るみになった時、多くの人が思ったあの事件。
なるほどと思う説得力の流れと、縦社会のサラリーマンの常識や悲哀がコミカルに描かれていて、とても面白かった。
役者陣がみな非常にいい。
そしてラストがとてもいい。
今回は話がわかりやすくて、JACROWは難しそうだなと敬遠して来た人にもオススメ。
実演鑑賞
満足度★★★★
コロナの間この劇団を見る機会がなかったが、その間に作者は随分上手くなった。
経済社会や政治社会を直接舞台にとってそこでドラマを作るのは、現代人を描くには良い着想だと思っていたが、経済構造や政治構造がドラマとしてリアルに描区のは難しい。つい、なじみのある人情話に落としてしまいがちだった。
今回は、不動産業界を舞台にした土地売買詐欺事件を素材に、不動産会社の人間模様である。
そういえば、アメリカの芝居で「グレン・ガレイ・グレン・ロス」という不動産業界舞台の犯罪がらみの芝居があった、と思いだした。舞台の米日の国情の差も面白い。あちらはセールスマン同士の個人の業績競争、こちらは不動産会社の中の出世競争のグループの話になっている。「グレン・ガレイ」はリアルな舞台展開だが、「地の面」は、かなり様式的で、ダンスも取り入れ、ステージングも抽象的で、詐欺事件の話をテンポよく織り込んでいる。会長社長以下の会社組織は従業員何千人という会社としては戯画的になっているし、詐欺師たちを、その場にいながら姿を見せない存在としているのも、事件の子供だましみたいなところと似合って成功している。荒技のところもあるが、面白く展開できたのは、作者が腕を上げたから、である。
出演者は中年の男ばかり9人。小劇場で知られた顔が多いが、今回は名古屋小劇場の重鎮が二人参加している。休憩なしの二時間。ほぼ満席、珍しく若い三十代以下の男性客が多く
こういう実社会エンタメの作品の路線はこの小屋の売り物になるかも知れない。男性客が多いと言うことをまず、買わなくては。
実演鑑賞
満足度★★★★★
久々に生観劇のJACROW、今回の舞台は不動産屋。
作劇と俳優と演出と、快楽に満ちたステージ。名古屋演劇界から参加した両名が実によい。気づけば、男だけの芝居であった。面白い。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/14 (金) 19:00
有名企業が騙された地面師詐欺事件をモチーにした話。騙された企業の立場から描かれている。何故詐欺のメッセージがあったのに契約までしたのか。会長派閥と社長派閥、社外取締役の機能不全、大手企業の自惚れ等が読み取れる。起こるべきして起きた事件として納得。
実演鑑賞
満足度★★★★★
昨年12月に見た闇の将軍四部作
(東京芸術劇場シアターウエスト):JACROW 夕闇、山を越える/宵闇、街に登る/常闇、世を照らす/やみのおふくろを1日のぶっ通しで見てとても面白かったので、満を持して今日見てきました。
期待に違わず、スリリングで、笑えて、イラついて、哀愁感のある内容。今回も2時間があっという間でした。
脚本が素晴らしく、演じる役者さんたちもエネルギッシュで、できればもう一度見に行きたいと思います。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/15 (土) 14:00
座席1階
今回のJACROWは地面師がテーマ。地面師とは、土地の所有者に成り済まして買い主から売買代金をだましとるグループで、著名な企業も被害者になっている。これは見なければと思い、新宿に出かけた。
自分はタイトルだけをみて、地面師グループたちの群像劇かと思っていた。土地売買に関わるさまざまな書類を巧妙に偽造し、本物の所有者を装う詐欺の手口は実に複雑怪奇である。これをどう描くかと思っていたら、地面師にだまされた大手不動産会社の幹部たちの群像劇であった。それならば、これまで会社を舞台に客席の目をくぎ付けにする会話劇を提供してきた中村ノブアキのフィールドだ。結論から言うと、いつもにまして面白さに目を奪われる出色の出来だった。
この舞台には、おじさんたち男性俳優しか登場しない。ここもこれまでのJACROWと少し違うところだが、違和感を感じないどころが実にぴったりとくる。まず、冒頭がすごい。おじさんたちのダンスシーンから開幕するのだが、これがいすとりゲーム。会社内の派閥抗争のメタファーともとれる。ダンスは劇中、何度も出てくるが、これも意外なほどに違和感を感じない。
大手不動産会社をだます手口とはどんなものかというところに興味を持って見ると、それほど込み入った手口の描写があるわけではないので少し物足りないかもしれない。だが、これが大手企業内部の派閥抗争という視点で見ると、やっぱりJACROWらしくて面白い。
ラストシーンに至るところが最大のヤマ場であり、予想外の展開に刺激される。いつもの強烈な会話劇にダンスシーンが加わってパワーアップした今作。見ないと損するかも。