実演鑑賞
満足度★★★★
初めての朝劇 体験は新鮮だった。珠玉作。
説明にもあるが、この店のママで 私 馬淵愛理(守谷菜々江サン)の母が倒れ脳死状態。この脳死状態を巡り私と店の従業員 島崎貴明(佐瀬弘幸サン)、常連客2人--佐山香織(新野七瀬サン)・佐山浩司(世良佑樹サン)による濃密な会話劇。そもそも私以外の他人は、医学的または法的な建前という理屈、一方 私は唯一の肉親(娘)で色々な思い その感情が溢れる。相容れない理屈と感情の不毛な激論、その狭間で揺れ動く心、答えが出せない もどかしさ そんな整理出来ない心持を巧みに表す。
簡単に結論付けられない<生と死>の問題、その尊厳に係る会話は、あちこちに漂流し どこに落ち(辿り)着くのか関心を惹く。脚本 テーマは難しいが、演出はシンプルなもの。この会場(三軒茶屋orbit)をママの店に準え、激情した気持を落ち着かせるためにカラオケで歌う。観客は、ほぼ中央にある演技スペース(舞台+カウンター内)の周りに座っているが、その至近距離ゆえ臨場感は凄い。
上演前から 愛理は舞台上のクッションで寛いでいる。そして 唐突に店入り口から従業員、常連客2人の計3人が入ってきて 愛理と脳死に係る激論を交わす。当初、この人たちとの関係が不明であったが、だんだんと分かってくる。同時に親戚でもない 他人がここまで親身になって議論するのか、といった疑問が生じた。脳死を受け入れること、それは親族と他人とでは感情の度合いが違うのではないか。勿論、感情(精神面)だけではなく、病院(見舞い)へ行くといった肉体的な面、病院費用といった経済面等、諸々の負担があることは承知しているはず。ママが倒れてからの状況・経過が判然としないため、脳死の選択という<肝>の部分だけをクローズアップさせたドラマ。
(上演時間55分)【オールシーズン】追記予定
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/24 (水) 11:30
続いて、オールシーズンチームを観た。驚いた。役者が変わることで、こんなにも芝居が変わる!57分。
物語のスタートや展開は同じだが、冒頭から雰囲気が違う。決断から逃げた愛理(春 やまうちせりな/オ 守谷菜々江)を追って他の3人が来るのだが、春では冒頭でも攻撃的だった香織(増田有華)がオールでは浩司(世良佑樹)に変わったことで攻撃的には入らなくなった。恐らく男女の違いによるものだと思うが、それに合わせて春では唯一の男性だった島崎(佐瀬弘幸)のテイストが大きく変わった。これを演じ分ける佐瀬が見事。夏では島崎を堤千穂が演じ、4人全て女性となるので、これも観に行かなくては…、と、役者の違い、男女の違いで大きくテイストが変わる芝居を楽しんだ。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/24 (水)
9時開演の春チームを観た。巧妙な会話劇だが、朝から観る話じゃないってとこも…笑。いい芝居です。(5分押し)55分。
突然、始まる。4人の登場人物がほどなく揃い、「せっぱ詰まった」感にあふれた会話を始めるのだが、4人の関係が(説明がないのに)徐々に分かる展開は見事。扱われているのはシリアスな話題で、時に深刻にもなるが、4人の立ち位置の違いや、年齢や経験の差から来る思いの違いが現われ、最後は余韻を残して終わる。よくできた芝居だし、ちっちゃいカフェでの公演なので臨場感がある。場所を活かした演出も巧い。