明け暮れ狂想曲 公演情報 明け暮れ狂想曲」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
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  • 満足度★★★★★

    「どん底」そのもの
    舞台は「どん底」をモチーフに再現しており、キャストの演技力も抜群だった。 地下の傾きかけた木賃宿で暮らす貧困層の人々のその日暮らしを描いた物語。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    宿主・コストゥイリョフを雁次郎、その妻ワシリーサをお万、ワシリーサの情夫ペーペルを権八、ナターシャをお花とし、日本名に置き換えているところは実に馴染みやすかった。

    人生の底辺に暮らす人々の可笑しくも悲しい人間模様と、貧困という牢獄から抜け出すことを夢見ながらも、抜け出せない彼らは誰一人幸福になることがなく、どん底にいる市民たちは、歌と酒だけを娯楽に日々の生活を送っていく。

    ここでは、鍵屋の女房や役者は登場しないが、他人を当てにして自らは何も行動しようとしない3人の暮らしの描写だけでも充分に可笑しみを表現していた。その悲惨な姿は悲しみを通り越し異様なほど面白いのである。

    舞台セットは木賃宿の湿った不潔感や泥臭い雰囲気が見事に演出されていて、見応えのあるお芝居。また、ここの劇場は初めて来たが30~40人程度の客席で、まさに眼の前、直近で演じられる濃厚なお芝居を堪能した。是非にお勧めしたい。
  • 満足度★★★★

    芝居をじっくりと。
    この『明け暮れ協奏曲』には原作があると、終演後に教えてもらった。

    教えていただくまで気がつかなかったが、振り返ってみてようやく、笹塚ファクトリーで観た演劇企画集団THEガジラの『どん底』を思い出す。

    でも、ガジラと今回の劇団キンダースペースの芝居は、全く違う作品のように感じたんだよなあ。

    そもそも『どん底』は帝政ロシア時代が舞台だけど、キンダースペースは江戸時代(?)が舞台になっている。場所はどのあたりなのだろうか…スリで舶来品の時計をかっぱらったり、紙屑拾いという商売が成り立つことから想像すると、江戸だろうか。

    ま、背景の違いは表層的なもの。

    決定的な違いは、この『明け暮れ協奏曲』は、極々微かだが「救い=希望」を感じ取れたこと、そして続編を作れるだけの魅力的なキャラクターを生み出したな、と感じたことだ。

    西川口にアトリエを持つ劇団キンダースペース。

    かつての西川口の趣たっぷりの古い雑居ビルの一階にアトリエはある。
    でも、舞台装置&衣装の凝りっぷりは、スゴイ!! 芝居の匂いがプンプンする。

    西川口というと遠く感じるかもしれないけど、王子小劇場のある王子駅から10分くらいの駅(ま、その王子駅がすでに遠く感じる方が多いんだろうけど)。

    じっくりと味わえる芝居。ぜひ。

    ネタバレBOX

    登場人物は6名。

    強欲な大家とその妻。妻に折檻されまくる娘(妻は後妻か?)。
    そして、店子の男3名。一人は妻の情人。一人は娘にゾッコンの紙屑拾い。そして、酒に入り浸るスリ。

    このスリの人物設定がとってもイイ。

    風貌は、落語家の立川志らく師匠のような「童顔だけど一癖ありそうな」感じ。
    自堕落な生活っぷりを披露しながら、哲学めいたことを口にする…でも、イヤミな感じを全く受けないんだな。

    なんだかんだあって、2人の男に「一歩進ませる」キッカケになるこの男・・・タダモノじゃない。

    でも、いわゆる「スーパーヒーロー」じゃないのがまたイイ。
    具体的な処方箋を出すわけじゃなし、ラストでは折檻されまくりの娘を救うことができないのだ。

    なんでも解決しちゃうヒーローも悪くないけど、こういう無常感たっぷりのヒーローには惹かれちまう。

    この酒浸りの男を主人公にしたシリーズ物を観たくなるほど、ボクはこの男に魅力を感じたなあ。

    良い芝居でした。
  • 満足度★★★★★

    どん底でした
    「どん底」をモチーフにしてあり本編の登場人物を少し削除してあったがキャストの演技力が秀逸で見応えのある作品だった。
    木賃宿で暮らす男3人の雰囲気も見事に描写され舞台セットもその情景を醸し出していた。素晴らしい舞台。

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