花と龍 公演情報 花と龍」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    傑作。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/03/01 (金) 14:00

    文化座の創設者佐佐木隆と親交があったという作家火野葦平の作品。文化座がこの舞台を受け継いでいくのは自然な流れであろう。火野と同郷という東憲司が脚本を担当した。

    筑豊炭田の石炭を船に積み込む沖仕「ごんぞう」たちの物語。「青春の門」など名作の舞台になった筑豊は荒くれ者の街というイメージだが、ごんぞうたちを仕切るのは「組」の組織。やくざ者の組もあり、「飲む・打つ・買う」にけんかという気質が全面的に描かれている。ごんぞうには女性も。戦争で配偶者を失った女性も生活のために厳しい肉体労働をしていたとこの舞台で初めて知った。
    任俠の舞台のような感じかと思ったが、主人公は「けんかは絶対にしない」という一風変わったヒーローだ。その誠実さと人望で、ごんぞうの世界でのし上がっていく。この男を今や文化座の柱となっている藤原章寛が演じた。
    中国大陸に出て一旗揚げるという野望があるが、「気が優しくて力持ち」的なヒーロー。ヒーローにしてはちょっと物足りないところが、藤原には少し合っていないような感じもした。その妻を演じた大山美咲は小柄だがどっしり構えていて、とてもよかった。けんかも強く、男の急所を握りつぶして撃退するという場面には笑いも起きた。
    起伏はあるものの物語は淡々と進んでいく。荒々しさとは一線を画している感じで、食い足らなさを感じたのは自分だけだろうか。彫り師の美女とのロマンスっぽいところも出てくるが、何せ主人公がストイックなものだから、スリルに欠けると言っては言いすぎか。大きな起伏がない分、休憩を挟んでの3時間はとても長く感じた。

    1階部分と2階部分を場面場面でうまく使い分けて進める演出はよかった。また、役者たちがはける階下のスペースにマリンバ(多分)などを含めた打楽器奏者を入れ、音楽や効果音をメリハリよく重ねていたのもいい。毎回書いているが、組の親分役を演じた佐々木愛の高らかな笑いや歯切れのいいせりふには、本当に驚かされる。

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