実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/03/17 (日) 14:00
座席1階
白黒を法的に決定する裁判の物語。白黒というところをオセロに例え、白と黒がいとも簡単にひっくり返ったり、白と黒の間は非常に薄っぺらであるという現実を描いた。非常に練り込んだストーリーで、客席を飽きさせない展開だった。
新人の若い女性弁護士が女性被告人の弁護を担当することになった。女性は刃物で勤務先の社長の腹部を切り付けたとして傷害罪に問われている。接見を重ねるうちに、「正社員に取り上げるから」と酒席に臨んだ女性が泥酔させられ、乱暴されたという隠れた事実を知る。さらに、事件のあった時、社長が背後から「君のことばかり考えていた」と迫ってきて、包丁を使って調理をしていた女性がそれを振りほどこうとして振り向きざまに切りつけてしまったということも分かる。
女性は刑事弁護のベテランと言われていた事務所の男性所長に協力を依頼するが、所長は乗り気でない。所長はある事件をきっかけに刑事弁護から離れていたのだ。
テーマはえん罪だ。起訴されれば99%は有罪という日本の司法だが、供述に頼った捜査や、被告人に有利な証拠は出さないという検察のあり方が問題とされている。この舞台でも同様なことがエピソードとして登場する。所長はかつて、連続殺人事件の弁護で無罪を勝ち取るなど輝かしい実績があるのだが、黒が白になり、また黒になるという展開にほんろうされてきたことも分かってきて、こうした展開にも客席はのめり込んでいく。
Pカンパニーの罪と罰シリーズ(今作は11作目)は、非常に練度の高い物語を劇作家たちが編みだしているからいつも劇場に行きたくなる。今作は依頼を受けた山谷典子が裁判取材など下準備を重ねて書いたという。語弊があるかもしれないが、彼女が近年書いている家族の物語より、個人的には今回のような法廷劇の方がいいと思った。
だから欲を言えば、もっと法廷の場面が出てくるとよかった。女性弁護士と所長の弁護士の葛藤を中心に描かれているので仕方がないのかもしれないが。また、傍聴マニアという存在を登場させてうまく刑事裁判の「あるある」を小出しにしていたのはとてもよかった。
実演鑑賞
満足度★★★★
普通に面白いが、ちょっと説明過多な気もする。とことん説明したいという作家なのだろう。
ところで、「私の口から言っていいかどうか・・・」それは言っちゃいけないでしょう。