ボクジョと自衛漢 公演情報 ボクジョと自衛漢」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    大当り
    初見の劇団でしたが、これが大当り。優しく、そして厳しくもある人情劇。ちょっとオドオドした、ためらいがちな会話が実にリアル。井上さん(役名)はいかにも元自衛官ぽいし、立花さん(役名)は地方公務員によくいそうな感じ。養鶏場で働く人らしいというのは分かりませんけど。密度の高い丁寧な芝居にすっかり満足です。次回作も期待します。

  • 満足度★★★★

    元気になってよかったね!
    自衛漢って男の自衛官のことかな。ボクジョって何だろう、未だに分からない。

    ネタバレBOX

    経営に苦しんだ父が出奔し、その後母が過労で亡くなったことで男性不信に陥り、経営は従姉に任せ、つらい思い出のある養鶏場から少しでも早く出ていきたいと思っている名ばかりオーナーの娘と、自分の不注意から同僚を死なせてしまい自衛隊を逃げ出して養鶏場で働くことになった元自衛官を中心とした養鶏場の人たちの話。

    養鶏場で事故が起こり、パニックになってまた逃げ出しそうになった気持ちを従姉を始めとする養鶏場の人たちのおかげで何とか押し止めることができた元自衛官、そして彼が体験した、逃げないこと、謝ることなどをとつとつと話し聞かせることでオーナーももう一度養鶏場で働く気になり、元気になりました。って、ちょっとそんな簡単に気持ちが変わるものかとは思いましたが、元気に生玉子を食べられるようになった姿を見るとこれで良かったのかなと思いました。

    表敬訪問に訪れた市長さんが軒先から出入りするのは変というか、失礼なような気がしました。やはり、玄関でお迎えするのが礼儀だと思います。

    ヘリコプターの音は何だったのでしょうか。原発事故の調査で飛んでいるのでしょうか。そしてニワトリたちが汚染され、経営が行き詰まるのでしょうか。あるいは、戦争が始まって元自衛官が呼びもどされることにでもなるのでしょうか。あっと驚く展開が待っているような気がしましたが、それっきりでした。
  • 満足度★★★★★

    傷を負った二人
    セットが素晴らしい。典型的な日本の居間を作ってあり、このセットを見ただけで、これから始る芝居の期待が高まるというもの。そしてそれは期待どおり。初見の劇団だったがとっても得した気分で帰れた。とにもかくにも、それぞれのキャラクターの立ち上がりが絶妙で役者の演技力にも大満足な舞台だった。特に井上役の大谷幸広の演技力が抜群だ。大西養鶏場を舞台に繰り広げられる人情劇。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    かつて、養鶏所が大きな負債を抱えたときに加奈の父親は家族を捨てて失踪してしまう。その後、母親は無理をして働き、過労で倒れ亡き人となってしまう。残された加奈は現在の大西養鶏場のオーナーだが、過去の経緯から男嫌いになってしまう。そんな加奈を支えるいとこの紀美、紀美の友人の律、加奈の同級生の留亜だったが、過去のトラウマから逃げ出せず喘ぎ自分の殻に閉じこもったままの弱い女だった。

    そんな現況から逃げ出したい加奈は自分の仕事と家を捨てて東京行きを決めてしまう。そんな折、市の職員の世話で元陸上自衛隊員の井上が大西養鶏場に働きにやってきたのだったが彼も加奈と同じように心に傷を負っていた。

    加奈が、自分の思い通りにいかない。と嘆き泣くシーンはまるでガキそのもので、到底、大人の女性には見えないのだが、割に自分の殻に閉じこもるタイプの人間は多かれ少なかれ、その精神はガキだ。しかしこういったガキ精神も周りの人々の努力と容認さで加奈の闇を溶かしていくのだが、辛いことと向き合う克服の仕方を同じように闇を持った井上から教わるという、ごくごくシンプルな設定だ。

    しかし、キャストらの演技力とその絶妙さで泣く場面でこちらも泣かされ、傷を負った人間の魂をその演技力で見せ付けた井上にも泣かされた。そして彼らを支える人たちの崇高な魂も垣間見た。

    序盤、卵かけごはんを食べるシーンでは、かつて観た「弘前劇場『夜のプラタナス』」の舞台シーンと重なり、つくづく芝居って目に焼きついたワン1シーンは忘れられないものだと、しみじみ思う。
    そして終盤、加奈が心の傷を克服してみんなで、うこっけいの卵を食するシーンがあるのだが、卵がうこっけいではなかったので、そこが残念だった。

    全体的にきっちりとそれぞれの役割を演じて魅了していたと感じる。養鶏場が舞台というのも面白い設定だったし、鶏のうんちくも知らないことばかりで、その環境も楽しめた。
    お勧めの舞台だ。

このページのQRコードです。

拡大