ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE 2023 公演情報 ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE 2023」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    初日に観劇。
    演者の素や、演者同士の素の関係が垣間見える時がちらほらと。
    私は、そういうのが嫌いなんです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    第二回浅草九劇賞特別賞受賞作。観劇日は満席。
    三浦按針が故郷・家族、そして命をも捨てる覚悟で大航海を経て日本に漂着、その経緯をナレーションで説明するところから物語は始まる。勿論 コロナ禍という閉塞・混沌とした現代においての道しるべとして準えている。内容的には重苦しいものであるが、描き方は逆に多くの笑いを誘いながら元気づけるよう。端的に言えば、今を生きる人々の心を優しく描いた 希望への物語と言えよう。

    説明にもあるが、舞台は大分県臼杵市の港町の海鮮居酒屋「魚屋按針」、そこで働く個性豊かな人々との ぶつかり合いを通して生きる希望を見出す。逆境や絶望の淵で、それぞれが生きるための模索や選択する姿を丁寧に描き、人と人の関わりが生きる希望へ繋がることを示唆する。厳しい現実から目を逸らさず、立ち向かう勇気こそが<生きる>ことと訴えているようだ。

    全編 方言(臼杵弁)で紡がれるが、けっして一地方の出来事ではなく、日本の至るところで見聞きすること。東京の大学に通っていた小松翔太はコロナ禍によって就職先の内定を取り消され、アルバイトも解雇、学費も家賃の支払いも ままならず…。行き場のない翔太の苛立ちと鬱屈した気持を変える転機、それが故郷であり父 義一が経営する店での数日間の出来事として描く。良いとか悪いとかではなく、いろいろな意味で説得力に溢れた力作。
    (上演時間2時間 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、海鮮居酒屋「魚屋按針」店内…下手が入り口、すぐカウンターがあり棚に酒瓶が並んでいる。中央奥に座敷、手前にテーブルと椅子代りのビールケース、上手奥がトイレ。壁には大漁旗、観光ポスター等が張(貼)られている。

    物語は説明の通りであり、訳ありの人物と店主 小松義一(梶原涼晴サン)の関わりや背景(過去)は台詞でサラッと説明するだけ。どちらかと言えば、訳ありの人物と帰郷している息子 翔太(甲斐直人サン)との衝突を通して今の窮状、その深刻さを際立たせる。それがコロナ禍における状況で、日本の至る所で見られた光景であろう。しかし閉塞感ある状況下においても、明るく前向き いや開き直りといった店主の姿が逞しい。その諦めない姿にANJINの航行を重ねる。

    訳ありな人々(性格等)…元ヤクザ(暴力)、アル中(怠惰)、引き籠り(泣き虫)、デリヘル(妊娠中)が店主に雇われ、その日暮らしの生活をしてきた。しかし、借金返済の目途が立たず 店が差し押さえという現実を突き付けられ、知恵を絞り打開策を考えるが…。今まで流されるようなダメ人生、初めて自分たちで何とかしようと努める、そんな成長譚であり応援謳でもある。この個性豊かな人々を演じた役者陣の熱演が、この公演を支えており、情感溢れる印象を与える。

    上演前、揺れるような水色紗幕、波の音が港町の情景を想像させる。中央に物語の象徴でもある輝くコンパス(羅針盤)を置く。暴風雨の中、船を出航させた父の行方は…そんな周りの緊張と飄々とした店主であり父の態度、その対照的な描きの中に どんなことがあっても生き抜くといった力強さを表す、それが公演の肝であろう。
    次回公演も楽しみにしております。

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