同郷同年2023 公演情報 同郷同年2023」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    以前何処かで戯曲を読んだ気がしていて「三人の同郷人が時を少しずつズラして会話して行くお芝居」程度の記憶で、しかも原発が題材という認識も無かった。
    ので、観劇の日は「まあ勘違いだったか」と先入観無しに観たが、見終えた後になって記憶と付合して来るものがあった。

    当日は20分程遅れて入場、一場目の終わり暗転中に時間経過を知らせる字幕が映され、二人が鬱々とした話をしている所へスーツ姿が颯爽と登場したなりクスリ笑いが出ていたので、ああ一場とは随分風情が変わったのだな、とこの芝居の趣向が判ったのは助かった。(実際にどう変化したのかは後で台本で知った。)
    二場目から観ても十分見応えある原発(正確には核廃棄物の最終処分場)誘致を巡っての悲喜交々。関西人らしく?やんわり笑いに落としながら痛烈な皮肉が撃ち込まれる。その快感は、三人の半生が辿った笑えない軌跡と悲哀とない混ぜに、酒のように沁みて来る。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/10/04 (水) 19:00

    座席1階

    期待通りの力作だった。同郷同年、同じ年に同じ故郷で生まれ育った同級生という郷愁を誘う言葉が原発のゴミ・放射性廃棄物処理場誘致をめぐって凶器になるという物語だ。

    人口減少に効果的な対策を打てない過疎の街。代々続いてきた米作りも耕作をする人が減り、希望を見いだせない。そんな故郷を、電力会社が札びらを片手に乗り込んでくる。巨額のカネで何とか地域振興を、とすがる町当局。ところが、住民投票で誘致が否決されるという場面から始まる。
    現実世界でも、調査を受け入れただけで巨額資金が流れ込むという事実を前に、調査を受け入れた自治体もある。だがこの街ではまず、否決している。少し意外な展開なのだが、こうした思いが舞台が進むにつれて音を立てて崩れていく様子を見せつけられる。同郷同年、の言葉と共に。
    演出は桟敷童子の東憲司だ。買ったチケットがたまたま最前列だったのだが、真っ黒に塗られたヒマワリ。かつて子どもや若者たちの声であふれていた街が誰もいなくなったということを象徴するように、壊れて捨てられたラジカセやギターが舞台最前にさりげなく置かれている。最前列に座らなければ気付かないような細かな舞台美術。まるで桟敷童子の舞台を見るようだ。
    精神病院つばき荘で見せた舞台芸術だからこそできる問題意識を持ったリアリティ。今作でも、これを3人の俳優が見事に演じきって見せた。

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