代わりの男のその代わり 公演情報 代わりの男のその代わり」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    濃密だけどある種心地よい会話劇、良かった。
    言葉にするほど嘘になるって刺さるなぁ。
    こうやって感想を言語化することも然り?

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/09/30 (土) 15:00

    座席1階

    非常におもしろい会話劇だった。劇が進むにつれて解き明かされる物語もあって、謎解きの要素もある。ドメスティックバイオレンス(DV)による離婚を扱っているが、一方的に男性側に非があるわけでもなさそうだ。さまざまな要素を3人だけの登場人物で編んでいく高等戦術。ワープロ書きのパンフレットには「定食屋さんがお米を炊いてそれだけを出してみました」という作品だそうだ。コメ(俳優)の旨さ、炊き方(脚本)の旨さだけで客席に迫ってくる。

    アマヤドリが本拠とする池袋の小劇場で、客席と俳優の距離が圧倒的に近い。冒頭、開幕前から長いすに喪服の女性が座ってあくびをしたり、寝転んだり。別れた夫の三回忌だということがまもなく分かる。客席のすぐ脇を通って入ってきたのは彼女の弟。彼女は弟の運転で田舎にある元夫の実家に来たようだが、最初に話題になったのは弟が会社を首になりそう、という話だ。女性には元夫との間の息子、再婚した夫との間に娘がいることも会話の中身から分かってくる。
    もう一人の登場人物は亡くなった元夫の弟で弁護士。この弁護士が女性に意外な提案をするところから、話は回り始める。
    おもしろいのは、会話のキャッチボールを通して相手がどんな感情を持っているか、また、それがどう変化していくのかを丁寧に描いているところだ。女性の口調も七変化。離婚した元夫やその家族に対する微妙な感情の揺れが、波のように客席に伝わってきた。

    アマヤドリを主宰する劇作家の広田淳一は、役者との対話を通して台本を練り上げていくという手法を採るという。このような絡み合った家族関係、人間の心の動きをけいこに参加した俳優たちと作り上げたとすれば、どのような会話がけいこ場で交わされたのか。そんなメイキング映像があったらおもしろいのではと想像した。
    けいこ場のような小さなスペースなので仕方がないかもしれないが、もう少し舞台美術に手をかけてもよかったと思う。

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