実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽。
オイ(親父)……から、オイ(息子)まで。間に、オイ(お前)やオイ(ちょっと待って)などを挟みながら。
修学旅行、体育大会…学生時代の思い出が走馬灯のように立ち上がって、卒業式の答辞のようにキュンとする。それでも大切なのは何気ない毎日の放課後の帰り道や寄り道。人生を決定づける出来事も、そんな中に紛れ込んでいたりする。
ハラスメントを受けること以上に、無自覚にしてしまうことを恐れる世界になって、人とも友人ともどう接すればいいのか迷子になっている。それでも、やっぱり仲間が必要で大切なんだな。
あの恋は実って終わりを迎えるのか、別の道を生きたけれど戻ってくるのか。
ズケズケ人の心に踏み込む厳しさと優しさ。
同じキャンパスで同じ時を過ごしたヒューマンジャーナリスト山本美香さんのことを思い出している。このひと月ほど「見て見ぬふり」について度々考えている。
卒業生たち同士が、たまには集って繋がっていてくれることを願う。
昨日、教え子から「母が2週間前に命を絶った」と打ち明けられた。残された者はどうしたって『もっと自分にできたことがあったのではないか、自分がああしたことやこう言ったことが悪かったのではないか』と考える。どうしてそういう時に、何も言ってあげられないのだろう。かけてあげるべき言葉が見つからず自分の無能さを痛感した。
目に見えているモノは何てことはないようでも、裏側にはそこに映らない物語がそれぞれにある。
犬は散歩で無邪気に走るし、飛び出したら危ないし……目撃したら苦しい。
covid-19は会社経営を難しくしたし、SNSは匿名で人を痛めつけストレス発散の場の様相。
毎度のことながら、115分の中にはない物語を、説明せずに伝える脚本に感心する。
ちなみにわたしは給食以外で牛乳は飲まない。
そして、バスのシーンが好きだった。編み物をしている眼鏡のお婆ちゃんが可愛かった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
久々の感がある小松台東(と言っても一公演見逃したくらい?)。開幕、暗がりで登場人物らが出入りし、動いている意味深な断片があり、やがて明転して六畳間ほどの座敷。オープニングのMはちょっとフォークで生ギターにメロディが「珠」をイメージさせるシンセ音(ハモニカとビブラフォンの相の子のような)で爽やかな青春物なのか「敢えて」の引っ掛けなのか・・という微妙なラインの出だしにまず満足。黒い制服を着た男ら4名。セーラー服の女子2人と私服が一人、オヤジが一人。
高校生らしさを演じる面白さ、関係性が徐々に見えてくる面白さ。表情の奥に何かが潜んでいる風情が、ちょうどいい。
彼ら高校生の頭上には「将来」という重しがのしかかっている。そんな中にも男女の出会いはあり、地方の町ならではの「地元にとどまるか都会に出るか」を巡る悩みがあり、なりたい職業と家庭の事情との葛藤がある。そうした青春期の鬱屈には青春期ならではの昇華の方法があり、不安の雲が垂れこめる未来であっても「未来」は彼らのもの。・・カラオケで熱唱する男らの歌をBGMに冒頭見せた動きとは異なるそれぞれ動き方・居方で群像を表わす。懐かしさに胸がざわつく。
人生讃歌と言って良い作品だが、個々人の実在感がこの作品世界を支えている。中でも小椋氏はモダンでは見ない、寡黙で時折言葉を選んで喋るキャラに終始説得力がある。それがラストに繋がっている。他、キャラにあった俳優面々の佇まいがオイシイ。
実演鑑賞
満足度★★★★★
#竹原千恵 #吉田久美
#尾方宣久 #小椋毅
#松本哲也 #小園茉奈
#今村裕次郎 #瓜生和成
(敬称略)初日
生きる
生きた
生きて
生きるので
生きれば
生きよう
生きるから
生きなさい
生きよう
生きると
生きてこそ
生きなきゃ
生きていれば
生きろ
人生は静かな激動の連続
或いは大騒ぎの微風
愛しき我が人生