これも柿なのか。
書き下ろし台本ではなく古典であるにも関わらず、常時の公演と同じ色合いや匂いを醸したのは個人的に非常に評価しています。らしさ、を持つ者は強いのです。ただ、そうなるまでがちょっと長く感じたのも事実です。折り返しくらいから一気に畳み掛けてきました。過去の公演を観ている客は安心したでしょうが、それまでに飽きた一見さんもいたかもしれません。途中まではそういう制約の中で勝負したかったのかもしれませんが、何も知らない立場からの意見としては勿体無かった気がします。
満足度★★★
堀越涼+ロシア文学+レッドシアター
この公演のことはなんとなく知ってましたが
2日前に友人が「あれ?涼がでてる涼がでてる」
ことを発見したため急遽団体予約
満足度の高い舞台でした
チケットも安価だったし
●堀越涼
初めて演劇に関わったときに(当時私は宣美)
キャストさんだった今は花組芝居の俳優さん
当時はむちゃむちゃ若かったはずだが
その頃から「すごいなー」と思って見てました
その後彼の大学の教室公演でハムレットを観て(これもヨカッタ)
しばらくして花組芝居に入ったとの連絡を受けたのを最後に
ずっとお互い遠ざかってましたが
あの頃の輝きは失われていないどころか
やはり数段磨きがかかってました
開演してしばらくの間は長ゼリが続くのだけれど
それが舞台ツラどセンターで客席に背を向けて…
お客の集中力を途切れさせないパワーに感服
最も重要な役どころなので照明とのからみも多いのだが
オペレーターを悶絶させるようなリズムとタイミングで
きっかけをさくさくこなしてゆく…
オペの方はさぞかし気持ちいいだろうな~とうらやましく思いました
ただでさえ台詞が膨大な戯曲の
ともすれば退屈さを感じてしまうような2時間を
ぐいぐい引っ張って夢中にさせてくれました
翻訳ものとか台詞が長い作品は
キャストの実力をごまかさずに伝えてくれるところがいいね
しかし欲を言えばラストの絶望するシーン
衝撃で呆然とした感じがもっとスペシャルだったらよかったかも
(でも演出の問題なのかしら?)
キャストさんに限ったことではないが
素晴らしい力を持った人と出会うと
「ああ この道を選んだのはこういうことか」
という生命力をもらった気持ちになる
また是非とも舞台上で拝見したいです
●ロシア文学
については殆ど何も知らないが…
台詞が長く表現は時々鋭いが基本的には地道で
自国文化に対する劣等感と並々ならぬ愛情に満ちていること
そのへんが『アンナ・カレーニナ』に一瞬だけはまったことを思い出させた
やっぱ日本の人も割りと自国に対する劣等感ある雰囲気だからかな
全然違う国だけどなんか親近感
●レッドシアター
下見に行ったことはあったが観劇は初めて
あの新しくキレイでモダンっぽい内装だからこそ
今回の舞台がすごく映えたな~と思いました
セットはすごくシンプルで殆ど照明で見せる感じ
(どこの団体もここではそんな感じらしいが)
まあ…搬入口がね…しょうがないよね
でもその劇場の不便な点を魅力に変えていたのが好ましかったです
しかしSSは熱そうだった
演出についてはいろんな工夫があって
好みだったところとそうでないところがあったが
音響・照明の使い方についてはかなりオーソドックスなのが気になったかも
予想通りの展開はある意味で気持ちいいけど
がっかり感と紙一重な気もする
普段の柿喰う客もいつか観てみたいです