実演鑑賞
満足度★★★★
全員号泣。アメリカで大ヒット中の『バービー』と『オッペンハイマー』。「Barbenheimer(バーベンハイマー)」なんて造語が生まれSNS上で二作の合成画像がバズり、ミーム(ネットの流行り)となっている。バービーの髪型にキノコ雲を合成してアフロヘアーにしたものや原爆投下を背景にオッペンハイマー博士の肩に乗った笑顔のバービー。それに「忘れられない夏になりそう」なんてワーナー公式アカウントが好意的にコメント。こうなると世界唯一の被爆国日本は黙っていられない。署名運動にまで発展した。自分は「たかがパロディじゃないか」と冷ややかに思っていたが、今作を観て考えを改めた。日本人だけはこの十字架を何処までも背負っていかないといけない。逆に日本人が忘れてしまえば一つの不幸話に消費されてしまう。これは日本人が民族として語り継ぐべき民話であり、神話だ。この口承文学は永遠のもの。
1985年初演の被爆した母子の手記の朗読劇。一度は足を運ぶ価値は十分にある。誰もが皆知っている話なのに初めて聞くような痛みと衝撃。地獄とこの世の終わり。何故自分がこんな目に遭わないといけないのか?そしてこの体験に意味はあるのか?外国人の感想を聞きたい。
「今までの悪かったところを許してね。母さん、よか場所ばとっとくけんね」
「女夜叉になって
おまえたちを殺したものを
憎んで 憎んで 憎み殺してやりたいが
今は
母さんは空になって
おまえたちのために鳩をとばそう
まめつぶになって消えてゆくまで
とばしつづけよう」