ゼンダ城の虜~苔むす僕らが嬰児の夜~ 公演情報 ゼンダ城の虜~苔むす僕らが嬰児の夜~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    有意義な観劇でした
    スタッフ全員がハッピ姿で会場に入るとお神楽が流れ、気分は芝居小屋。舞台中央には花道が設けられ、ワクワクしてきた。会場スタッフが恐縮するほど礼儀正しく親切で好感がもてた。舞台に立つ人以外の仕事も公演の印象を決めるうえで大切。それがよくわかっている人たちだと思った。
    この戯曲は夢の遊眠社最後の公演として上演されたエポック的な作品。92年。小劇場ブームも次のステップに進む時期にあたっていました。その作品をいま観劇できた喜びは大きかったです。
    演劇を専攻する学生さんたちのパワーに元気をもらいました。この情報を教えてくださった在校生のかたに感謝します。

    ネタバレBOX

    自分はリアルタイムでは野田秀樹の遊眠社の芝居にはなじめず付いていけなかったクチです。いま改めてこの伝説ともなった作品を観て、野田以前の芝居、野田のあとに続くいまの若手劇団の芝居を考察するうえで非常に興味深かったです。
    やはり、野田秀樹の作品の難解さを痛感。
    赤頭巾少年と十字軍の子供たちは、新時代の演劇を志す新人たちを暗示しているのかもしれない。
    無法松の一生のパロディともいえる人力車を引く男や、赤頭巾少年とフラビア姫との絆を表現する場面はどこか唐十郎のアングラを思わせて興味深かった。若手時代、唐十郎のテント芝居に強くひかれた当代の中村勘三郎が今、野田秀樹に新作歌舞伎を書かせているのだから。
    劇中の台詞にもあるように、「クリスマス風」の飾りのついた舞台美術、花道、歌舞伎風の付け打ちなど舞台効果、照明もよく考えられていたと思う。
    主役の赤頭巾少年を演じた西田智美さんは長身で舞台映えする容姿。ハスキーな声で声量がないためか、聞き取りにくかったのが残念。だが、大胆な演技は大先輩の高畑淳子さんの若いころを彷彿とさせて楽しみ。
    吉野杉、君尾松、肩尾樅のトリオの芝居が印象に残った。こういう役がきちんと世界を伝えてくれないと楽しめないからだ。
    この舞台に出た人たちも1人1人巣立ち、やがて十字軍戦士のように演劇の世界で自分の武器を持ち、道を切り開いていくのであろう。そう思って観ていました。

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