深海魚は月の波紋に愛を囁く 公演情報 深海魚は月の波紋に愛を囁く」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    アンニュイな「れんこんきすた版ノワール」
     今回は、また一味違う、れんこんきすたの魅力に触れられた感じを楽しめた。

     というのも、かなりアンニュイでダークなモノトーンが物語の全編を貫き、深海魚のような囁きが伝わってくる独特な世界だったからだ。そう、そこは、まさに「れんこんきすた版ノワール」といえる深海の世界だった。

     あとはネタバレにて。

    ネタバレBOX

     その深海魚のようなシンガー・イザナを演じた中川朝子さんは、今回は素晴らしーダンサーとしての舞を封印し、退廃的な仕草での歌声を発散していたのが印象的だった。彼女の新しい魅力を堪能できて、よかった。

     物語は、東京のとある地下のスナックが舞台。そこには、まるで営業姿勢が感じられない店員のユカリと、なりやら訳ありのオーナー・蒼也(藤崎拓美)、そして謎めいた退廃的なシンガー・イザナがいた。実はイザナと蒼也は兄妹だった。

     この店の数少ない常連の釘宮(濱野和貴)はある日、学生の秋葉を連れてくる。その秋葉はイザナの妖しい魅力に吸い寄せられるように、この店に客としてではなく、イザナに逢いに通うようになる。そして、イザナの過去を探るようになる。

     一方、結婚を前に婚約者が突然、失踪し、その彼を独りで探す薬剤師のサエコは、わずかな情報をもとに、この店にたどりつく。彼は探偵をしていのだが、その彼を探偵として雇ったのは、蒼也の亡き父が残した作品を世に出して金儲けをしようと目論む父の弟の正岡(山本聡)だったのだ。

     また、ユカリが身を隠すようにこの店にいる訳は、一か月前に起きた大学教授が殺された事件と関係していることが、同じ大学を卒業したサエコによって暴かれていく。

     そして、イザナと蒼也は、失踪した探偵にどうかかわっていたのか?

     こんな幾つかの妖しくダークな展開が交錯しながら、この退廃的で暗い地下のスナックを舞台に進んでいく。その感覚は、いかにも深海と、そこに暮らす深海魚さながらで、この長いタイトルの意味を改めて考えさせられた。

     2時間の上演時間は、このモノトーンな物語では少々長く、重く感じられ、もう少し、展開のトーンに演出上の一捻りがあったほうがよかったかな、とも思えたが、「れんこんきすた版ノワール」としての新たな魅力は十分に湛えており、それに触れられたのは大きな収穫だった。

     地元・蒲田にこだわり続けて、来年10周年を迎えるという、れんこんきすた。記念すべき来年はどんな作品で魅せてくれるのか、本当に楽しみだ。

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