私立肉体オルグ学園大文化祭 公演情報 私立肉体オルグ学園大文化祭」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    お下品なだけでもないみたい。
    クラスの女子とまともに会話をした思い出が片方の指で事足りてしまうような(あるいは一度もないかもしれない)さえない男子学生たちが、せめて休み時間だけは愉快に過ごそうと編み出した小さな知恵、いわばインプロ的なくだらない下ネタベースのショートコントのパワープレイ。
    狂言を模した演目まであり案外、ひねりが利いていた。
    ラスト一作品では、会話のなかから事の成り行きや人物の背景を描いており、観ごたえのあるコミカルでウィットな青春劇だった。
    大人にならない大人がここにいた。

    ネタバレBOX

    肉体オルグ学園大文化祭の名の通り文化祭であるのだけれども、文化祭らしい華やかさは場内を飾った折り紙で作ったカラフルな輪っかと学園祭のプレートの周りの紙花くらいなもので、心情的な盛り上がりはいまひとつ。
    そんななかオープニングに登場したのは、マキ16才ドットコムという名のいかにもイタイアイドルになれなかった風の女子。しかも年齢詐称で実年齢は26歳。彼女がAKB48のポニーテールとシュシュを熱唱。(←もちろん振り付き)
    それでも会場が盛り上がる気配がまるでないなか、朝まで生テレビをパロッた演目、徹底討論「セックスレス」。
    パネラーの童貞君ふたりには予想と妄想でしか語り得ないものの、ほんのわずかな性に触れた体験を漫談風にやるメガネ君。女性のある部位と彼自身の一人二役をこなす様、その表情、一人ノリツッコミのタイミングまで完璧でおもしろかった。

    この次に出て来たのは森を破壊し続けるニンゲン共を滅ぼそうと策略してる森の妖精たちのコント。上半身裸で片手に槍を持ち、頭のてっぺんにはチカチカ光るカチューシャみたいなのをつけててかなりベタ。宮崎あおいだけは守る!とひとりがいうとオマエには守れないともうひとりがいい、仲間割れして、ついには殺し合いにまで発展。不謹慎だなぁとおもいつつも、笑ってしまった。

    ポストモダン現代萌え狂言なるコントもおもしろかった。
    レディコミなんかでよくありがちないわゆる禁断の兄妹愛モノ。
    それを兄役、妹役がそれぞれ淡々と音読をするが、だんだん過激な性描写のシーンになると、コロス的立ち位置のもうひとりがエロティックな擬音語を発し、兄と妹との台詞の掛け合いがリズミカルに進行。それがどうも狂言回しを意識しているとしかおもえないイントネーションで、こちらも不謹慎だなぁとおもいつつも笑ってしまった。最後はバシッとポーズを決め、はからずも圧倒されてしまった。

    ラストの十月十日の旅は学園祭当日に学校を占拠した男子校生のドラマ。
    隣のひとと手をつないでUFOが来るよう念じてください・・・と観客を巻き込もうとするものの、誰もその手には乗らないだろうことを計算した演出が強かだった。また、彼の好きな女の子が学校中でキモイと評判の化学教師の恋人で、
    しかもそいつとの子供を妊娠中であることが発覚し、ゼツボーするしかないなか化学教師の本性も学校を爆破しようとするテロリストで、どっちが本物の侵略者なのか曖昧なところにも惹きつけられた。
    ある時は悩める陰鬱な14歳、またある時はバカ騒ぎをする男子高校生という風に人間の二面性をコミカルで時にはウィットに描いていた点も物語に惹きつけられた要因だった。
    各キャラクターの掘り下げとアウトラインを広げて、長編で観たい作品。

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