GODSPELL ゴッドスペル 公演情報 GODSPELL ゴッドスペル」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    初演出は、及第点だと思う
    演出が主演もする形態の舞台は、どうも、ハズレが多いという経験があり、彼が幼少の頃からの、古参ファンとしては、非常に恐る恐る観劇に出向きましたが、よくやっている、これは及第点ではと安堵しました。

    記憶にある「ゴッドスペル」とは、歌詞も演出もずいぶん変化していましたが、キリスト教に詳しくないヒトにも、以前よりわかりやすくなっていたように思います。

    ミュージカル畑の役者さんと、日頃から、立場を異にしている山本さんが、果してどんなメンバーをカンパニーの仲間に選ぶのか、大変興味がありましたが、予想以上に、皆さん歌もダンスもレベルが高く、安心して、観劇することができました。

    冒頭曲の不協和音には些か不安を覚えましたが、徐々に、声も合い、アンサンブルの良さが観ていて、心地良く感じました。

    ネタバレBOX

    やや小ネタが余計な感じを受けたのと、ユダ役は、ベテランの舞台役者さんで観たかったと思った以外は、だいたい、楽しめた公演でした。

    ユダとジーザスの関係性が、以前より、割愛されたのか、ユダの裏切りが唐突に感じたのが、やや残念な部分ではありましたが、逆に、誰にでも理解しやすくはなったと言える気もします。

    ジーザスの山本さんは、2001年の主演舞台の方が、ジーザスの苦悩など、精神の内面描写が優れていて、強く胸に残った記憶があるのですが、今回の方は、演出に力を入れたせいか、ご自身のジーザス造形には、もう少し、更なる工夫があってほしかったようにも思います。

    舞台上には、ジーザスになりきった役者さんがいたのではなく、常に、山本耕史さんそのヒトがいるような感覚がありました。
    でも、ショーとして観た場合は、これで、大満足の部類です。
    何しろ、ミュージカルスター、山本耕史を久々に満喫できましたから…。

    最後の歌をかき消すのは、9・11の飛行機の爆音でしょうか?

    原田夏希さんの素直な演技の仕方が、実に清々しく、胸を打たれました。

    もう一度、更に練り直して、再演してほしい作品でした。

    耕史さんの舞台で、立ち見のお客さんが大勢いたのは久しぶりに見たので、ファンとして、単純に、物凄く嬉しくなりました。
  • 気楽に・・・とはいけないか。
    トラムで料金7,000円は高過ぎ。

  • 満足度★★★★

    平成に福音は響いていたか?
    マタイ伝の中のエピソードを、ロックテイストの音楽に乗せて伝えるミュージカル。

    その昔、映画で観たという記憶がある(もとは、オフ・ブロードウェイの作品らしいが)。

    ネタバレBOX

    タイトルどおりの「ゴッドスペル(ゴスペル)」が、ミュージカルで繰り広げられる。内容は、マタイ伝の中から抜粋した、例え話が中心である。
    そのため、どうしても説教臭くなりがちなのだが、音楽に乗せることで、情熱的に伝えようとしていた。
    ただし、各パートのつながりは(もともとそうなのだが)あまりなく、エピソードの細切れになっている印象だ。

    ン十年前に観た映画しか知らないのだが、映画版では、フラワーチルドレンやヒッピームーブメントのような衣装と雰囲気があり、非常にPOPで明るいものだった。
    対して、今回の舞台は、まるで教会の廃墟のようなセットに、地味とも言えるようなナチュラルな色合いが多い衣装(ジーザスは、お約束のスーパーマンTシャツだけど)であり、そこにまず時代の違いを見せていた。

    アメリカでは、ゴスペルやクリスチャン・ミュージックのように音楽に乗せて伝道することはよくあるようで、現在ではクリスチャン・メタルと呼ばれるヘビメタもある。
    仏教で言えば、声明というところか、違うか(笑)。

    つまり、楽しみながら、福音を学ぶ(知る)という点が、この舞台のそもそもの目的のひとつではないかと思う。

    で、今回、平成の世にあって、今なぜ「ゴッドスペル」なのかということだ。
    魅力的な楽曲、若者のパッション、そして物語といったところがその主な理由であろう。
    しかし、歌詞や各エピソードに、耳を傾けるというのもいいかもしれないと思ったのだ。
    それは、宗教の持つ本来の意味と位置づけというものを、考え直してみようというもの。

    伝えようとしていることは、実にシンプル。
    やや窮屈だったり教義的すぎる感じもするのだが、批判の色を薄めて、その声に耳を傾けると、本来、人間のあるべき姿が語られていることを感じざるを得ない。

    ただし、今観ると、ジーザス(山本耕史さん)が、あまりにも一方的にすべてを語り、かつ啓蒙していこうという姿には、少々違和感を感じてしまうのも事実。ラスト近くでの「みんな寝てしまう」という、いらだちの台詞の部分だけが、人間的であり、際立っていた。
    そういう「人間的」な感覚を舞台に持ち込めていたならば、共感も大きかったのではないかと思う。

    歌がそれほどでもないキャストもいるにはいたが、全体的には、若さがあり、まとまりを感じた。
    それは、シアタートラムという小さなサイズの劇場だったということもあり、舞台との一体感があったことも大きいと思う。
    そういう意味で、このサイズの劇場を選択した英断には拍手を送りたいと思う。

    そして、今回は、山本耕史さん初の演出する舞台でもあった。
    その色合いが出ていたと思うのは、なんと言ってもラストだろう。

    映画版では、磔になった後のジーザスの亡骸を、全員で運び、ニューヨークの雑踏の中に消えていくというものだったと思うのだが、舞台では、そのシーン(亡骸を運ぶシーン)はなかった。
    代わりに、冒頭のシーンに戻り、その歌が爆音(飛行機のような)にかき消されるという意思のあるものが用意されていた。
    かき消されてしまう福音。
    それが現代の福音の姿だ、といったところであろうか。

    Day by dayが、やはり一番印象的な曲だった。
    ただし、生演奏の音が悪く、こもっていたし、楽器ごとの音色が響いてこなかった。ミュージカルなのだから、もっと音は大事にしてほしいと思った。

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