izanami・(&#x00A0) 公演情報 izanami・(&#x00A0)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    いつ立ち止まってもいい場所。
    あの世とこの世の境界線で痛切な懺悔と壮絶な赦しが混濁する。
    前回に引き続き、閉鎖的な『ある世界』を寓話的に描き、独自の視点で普遍的な死生観に挑む真摯な姿勢に好感を持った。
    ただテーマ性だけでなく、メタ的要素が前回と被っているパートがあり、やや新鮮味に欠けているような気もした。
    質素だけれど世界観に寄り添う形で構築されている舞台美術、照明、衣装が印象に残った。

    ネタバレBOX

    とある貧しい浮浪者の若い男女と乞食の女がひっそりと暮らすうす暗い掃き溜め。その中心部から延びる三叉路のひとつはあの世への入口で一歩足を踏み入れると二度と戻って来られないという言い伝えがある。
    死は恐怖に他ならぬことを知っている3人は『そっち』へは決して足を踏み入れぬよう日々最善の注意を払っている。
    そんなある日、紛失したメモ書きを探しにサラリーマン風の男性がやってくる。
    生きることへの不安や不満、諦めなどを抱えるひとびとが、負の引力によって引き寄せられ、苦し紛れに辿りついた終着地での話。

    全編通して緊張感に張り詰めた舞台だった。
    登場人物の誰もが死を意識し、死と隣り合わせにあり、苦悶している。
    その絶叫がこちらの骨の髄まで感染してくるようだ。
    誰も笑わないし、笑えない。笑う気力すら残されてはいない、極限状態。
    しかしながら飄々とした佇まいもあり、特に自殺が救われる唯一の方法だという意見で合致したサラリーマン風男性と貧しい浮浪者の若い男女が電気コードを首に巻きつけていざ集団自殺!という時に「痛い・・・痛い、苦しい。」といって浮浪者の若い男がのたうちまわる場面など笑っていいのかどうか迷ってしまうほどのコミカルさがあった。
    痛い・・・痛い、苦しい・・・って電気コードで首絞めるんだからそりゃそうだろ、と。死ぬことすら満足に出来かねるへタレなのか、と。
    けど、死にたいのに死ねないなら生きてるしか仕方がないよね・・・。という消極的なポジティブさは、現代を生きる人々の本音なんじゃないかとおもう。

    そしてそんなひとびとのおかしみを、寝そべりながら見届ける男は、あの世とこの世を行き来する、いわば神の使いのような者である。
    ある時男は、田中さんという人物宛てに靴を届けにやってきた。
    自分は田中ではないだろうが、その靴は自分のものだろうと主張するサラリーマン風の男性。そういえば彼は裸足だった。飛び降り自殺をする前に脱いだ靴だったのだろうか。しかし、靴の汚れ具合から自分の物ではないと判断したその靴は乞食の女へと渡り、女は知ってか知らずか『そっち』へと足を踏み入れ、戻ってきた時には古事記のイザナミとなって帰ってくる。なぜか?
    靴はカルマを、暗示していたのだろうか。
    そして、サラリーマン風の男性が紛失したというメモ書き。
    あれは、遺書だったのではないだろうか。
    だとしたら、一体どんなことが書かれていたのだろう。
    その一切は明かされない。
    誰にも本当のことはわからない、ということなのだろうか。
    会場内をぐるりと取り囲むように整然と敷き詰められた夥しい数の黒いゴミ袋からは死臭が鼻をつくようだった。

    一点補足を。
    当パンの挨拶文に当初はイザナミを殺した青年の話にする予定だったと書かれていたけれど、イザナミを殺してしまったバックグラウンドを持つ青年像というは残しておいた方が罪悪感への負荷が伝わりやすかったんじゃないかとおもった。
  • 満足度★★★

    抽象的なんだけど
    私の脳味噌の表面では、登場人物が閉塞状況の中にいるということくらいしか理解できませんでしたが、漠然とした既視感を覚えた作品でした。どうしてイザナミなのか解明しないうちにお芝居は終わってしまったものの、数年後くらいにこの作品のいくつかの場面を何気なくふと思い出しそうな気もします。

    ネタバレBOX

    (&#x00A0)の読み方も結局わからずじまい。

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