解散(仮) 【公演終わりました。ご来場ありがとうございました!】 公演情報 解散(仮) 【公演終わりました。ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    あれこれツボを付かれまくり
    アテ書きゆえそれぞれのキャラが前面に出ている上に、落ちぶれたアイドルの「あるある」的なものも満載で、twitterも出てくるので、あれこれツボを付かれまくり。
    もちろんこの会場をそのまま舞台として取り込んでいるので臨場感もあり、有線(という設定だが当然選曲したもの)から流れる曲も15年前のアイドルユニット「パイナップルパッション」(=PP)の同期の曲ということで懐かしく、PPの曲として使われるものがまた当時のアウドルグループ丸出しなのは極めつけ。ちなみにオリジナルではなく実在したあるユニットの曲とのこと。
    ということで約45分の上演時間が瞬く間に過ぎる。

  • 満足度★★

    脚本が面白くない
    大根健一さんは女性心理を描くのがうまい作家だけれど、今回の会話劇の脚本、ぬるくて私はあまり面白くなかった。
    こういう狭いカフェでの俳優個人の公演が最近よく開かれてるけど、収容人数も少ないし、お客は出演者の知人、友人ばかりなので、公演目的がいまいちわからない。有料の余興付き懇親会みたいなもの?席では次の自分の公演の宣伝してる劇団関係者がいたり(笑)。
    倉田知美が「働く大人の応援団めざします」みたいな挨拶文書いてたけど、「働く大人」って奥にいたサラリーマン客のことだろうか?(笑)
    おじさまファンには、美人女優2人を至近距離で拝めるのがメリットかもしれない。
    厳しいことを言うようだが、「公演」と銘打つなら、昔、渋谷のジァンジァンでやってたピン芸人や歌手たちみたいに、もっと芸で客惹きつけようという真剣さがほしい。場所の狭さは関係ない。

    ネタバレBOX

    PP1というユニット名、これはこの会話劇に出てくる「パイナップルパッション」にちなんでいるのか。
    「パイナップルパッション」は1995年にデビューした架空の4人組アイドルユニットで、1人は既に脱退。そのうちのミーナ(倉田知美)とチャッピー(塚原みほ)が解散の相談をするという設定の2人芝居。ブリっ子で、いまだに自意識過剰のキャピキャピしたミーナとサバサバしたチャッピーという対照的な性格の女の子、といっても、もう三十路という設定。実名の「のりピー」が出てきたり、わざとらしいヒット曲の題名「眠れる森の熊さん」など、ギャグが笑えない。
    だいたい、芸名が90年代というより60年代GS時代みたいで古すぎる。
    ミーナは解散後、ヌードになる映画出演の話があり、チャッピーは介護士への転職を迷っている。もう1人のメンバー、リンができちゃった婚をするという連絡がミーナのケータイに入り、2人は解散を取りやめ、いまできること、「メインボーカルを探そう!」というところで終わる。
    このアイドルユニットの2人の話が今後も続いていくということなのだろうか?
    何より時代設定がずれてるのが気になった。ミーナがデビュー当時、業界人とリッチなデートをした自慢話をするが、95年といえばもうバブルがはじけている。ジュリアナ全盛で業界人が広尾や六本木で派手に遊んだのは92年くらいまでで終わってるんですけど。

  • 満足度★★★★

    どこかビターで可笑しくて・・・◎
    必ずしも
    微笑ましいとか暖かいといった会話ではないにも関わらず、
    キャラクターの想いが
    その空間にゆたかに動いて、
    最後には親しみに近いものすら感じるようになる・・・。

    作り手の物語の編み上げ方のしたたかさに
    舌を巻きました。

    ネタバレBOX

    女性二人の会話劇、
    冒頭からの噛み合わない雰囲気に
    まず取り込まれます。

    二人はアイドルグループのメンバーをしていたらしい・・・。
    というか今もしているらしい。

    人目を意識するような風貌や仕草とは裏腹に、
    すでにほとんど忘れ去られた存在であるという現実が
    あって。
    その「ほとんど」具合が絶妙なのですよ。
    想いと現実のギャップからこぼれるような
    個性の異なる二人の女性それぞれの、見栄やいらだちや互いへの反発心、
    さらにはそんな日々への懈怠といまさらの「解散」の言葉が
    幾重にも重なって舞台に満ちる。

    役者それぞれのキャラクターの作り方や間の取り方がしたたかで、
    観る側は次第に、場の空気感やキャラクターの個性に囚われていくのですが
    でも、そこでかもし出された雰囲気は実はお芝居にとってはベースにすぎない・・・。

    作り手は、
    そんなふたりの刹那を描くに留まらず
    それをがっつりと動かしてみせるのです。

    ツイッターの書き込みによって
    外からの視線が差し入れられることで
    アイドルだった二人に刷りこまれた感覚が
    掘り起こされていく・・・。
    彼女たちの自意識が
    その世界の人間の業とでもいうように
    浮揚していきます。

    舞台の奥の窓から見える夜景に、
    閉塞したその場と
    見知らぬファンの存在の妄想が
    不思議な広がりをもって繋がって。

    ファンの存在を意識して
    一旦脱いだ帽子とサングラスを再び身にまとい
    存在を再び隠すのも上手いと思う。

    さらには出来事が重なって
    彼女たちをじわりと内から高揚させていきます。
    彼女たちの目撃情報はツイッター上でRTされていくし、
    店内の有線からは唐突に
    彼女たちの曲が流れる・・・。

    お互いの会話には
    息絶えかけていたアイドルの自意識と
    アイドルとはいえない、
    むしろチープなリアリティが混在し
    べたなウィットやペーソスへと色を変えて
    観る側に流れ込んでくる。

    脱ぐだの介護士を目指すだのという
    現実の世界を話していたふたりが
    アイドルの世界の徳俵に踏みとどまる中
    メインボーカルの女性の妊娠という
    さらなる事態に直面して・・・・。
    で、そこで思いが収束するのかと思いきや
    もう一段の箍が外れて・・・。

    これだけ、波長の合わない二人が
    グループの解散に振れるのではなく
    メインボーカルを新たに探すという
    別の共通したベクトルに歩みをそろえる姿に
    愕然となるのです。

    でもカーテンコールの拍手をするなかで、
    物語の意外なラストが
    不思議に納得できてしまうのがすごい。

    特に意識なく観客が観る中で、
    実はキャラクターたちのコアの想いを伝える
    様々な仕掛けが組まれ、
    回収された作品なのだと思う。

    拝見したのは初日とのことで、
    ほんのすこしだけ場のテンションが切れる部分や
    舞台の温度に抑制が聞かない部分もありましたが、
    でも、よしんばそうであっても、
    観客を惹きつけきる舞台の空気の動きには、
    常ならぬものがあって。
    公演を重ねるにつれて
    さらなる空気の閉塞やはみ出し方のしなやかさが
    生まれていくような余白も感じて。

    役者の場を作る切れにも瞠目。
    細かい表現にたくさんの秀逸を感じる。

    うまくいえないのですが、
    この舞台には
    説明なんてなにもないのに事情がすっと伝わってきて、
    観る側の耳をさらにダンボにさせてしまうような力があるのですよ。
    笑えるというのとはすこし違うのですが、
    でも胸の奥でビターな可笑しさが重なって、
    さらに前のめりになってしまうような
    そんな面白さをもった作品。

    そして、会場を後にする時には
    作り手の腕の確かさをがっつりと
    思い知らされた公演でありました。

    もうチケットはほとんどないようですね・・、
    ほんと、お勧めなのですが・・・。

    できることなら、私ももう一度観たいです。

    ☆☆☆★★◎◎△

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