オペラ『想稿・銀河鉄道の夜』 公演情報 オペラ『想稿・銀河鉄道の夜』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    星々と生命の煌めき
    今回の「銀河鉄道の夜」は、タイトルにもある通り、北村想さんの戯曲によるものだ。

    宮沢賢治のオリジナルを踏襲しつつ、物語やテーマとなる軸を、よりわかりやすくさせていた。
    それは、独自の銀河鉄道であり、同時に宮沢賢治の銀河鉄道でもあった。

    そして、生演奏による歌がいいし、役者が魅力的だった。

    こんにゃく座は、とても好きになった。

    ネタバレBOX

    舞台を見下ろし、囲むようにコの字型に客席が設置されていた。
    床に投影される影や光がとてもいい効果を上げていた。
    また、シンプルだが、効果的な装置やセット、衣装も印象に残る。

    役者たちは、どの人もよかったのだが、特にジョバンニ(島田大翼さん)の、にじむ哀しみは記憶に残る。また、尼僧と教師を演じた梅村博美さんには、包み込むような魅力があった。

    来年40周年を迎えるこんにゃく座だが、宮沢賢治の作品を数多く取り上げているという印象がある。
    しかし、「銀河鉄道の夜」の上演は始めてだと言う。

    理由はいろいろあるようだが、それだけ正面から取り組むには大変な作品だったということなのだろう。
    今回、北村想さんの戯曲によって、それが始めて実現した。

    物語の骨組みは、ほぼ、宮沢賢治作の『銀河鉄道の夜』である。
    しかし、微妙な点で異なっている。
    一番大きな違いは「銀河鉄道」の位置づけである。

    銀河鉄道にはカムパネルラは乗るのだが、ジョバンニは乗れない(ジョバンニは、車掌に「あなたは、どこまでも行ける切符を持っているのだが、まだ乗れない」と告げられる)。つまり、そういうことなのだ。
    したがって、原作に出てくる鳥取りや尼僧とのやり取りは銀河鉄道を待つホームで行われる。
    そういうことで、物語がわかりやすくなったと思う。
    また、カムバネルラがいなくなった翌日の教室のエピソードも加わっている。
    さらに、冒頭で行われる、銀河の星々と生物の話などに多くの台詞を割いていた。
    これらのことなどで、この物語のテーマを、よりくっきりさせてきたと思う。

    つまり、宇宙の多くの星々と、地球に生まれた生命の奇跡、そして、「死」。
    さらに、遺された者たちは、カムパネルラの喪失とどう向き合っていくのか、ということだ。
    ここが今回の舞台での、とても大きなポイントではないだろうか。

    星々とカムパネルラと遺された者たち、それらが美しく引かれ合って、夜空を巡るような舞台だったと思う。

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