くるみわり人形 公演情報 くるみわり人形」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 見てきた
    劇場との相性が抜群によかった。

  • 満足度★★★★

     暗黒メルヘン、闇の世界のファタジー
     くるみわりの世界が、現実とも夢ともとれるのは原作の世界観だと思いますが、さらにこの芝居が現実か虚構かわからなくなる仕掛けがあるあたりが、いかにも寺山でした。

  • 満足度★★★★★

    怪しく、美しく、楽しく-アングラの魅力満載
    演劇実験室◎万有引力の本公演50回記念公演。寺山修司が1977年に人形アニメーション映画の台本として書き下ろしたものを岸田理生が潤色し、さらに演劇実験室万有引力のJ・A・シィザーの演出プランにより、初めて上演されることになった。
    かつて西武劇場(現パルコ劇場)で上演される予定が実現せず、映画化も実現しなかったというが、人形アニメの「くるみ割り人形」はサンリオ映画によって1979年に映画化され、作詞は寺山修司が担当している。おそらく当初は、寺山の脚本で映画化されるはずだったのではないだろうか。
    「残酷メルヘン」と銘打たれ、子供向けの内容ではなかったので採用されなかったのだろう。今回の会場には小学校低学年くらいの子供連れも来ていたが、この年齢でアングラ芝居を体験できたってスゴイ!
    この話はクラシックバレエでしか知らなかったが、寺山はホフマンの「砂男」と「胡桃割りとねずみの王様」をベースにして、「夢」と「眠り」の問題に取り組んだ。子供を眠らせようとするために紡ぎだした砂男が夢の中にも出てきたらどうなるんだろう、という寺山の問いかけ。
    舞台はとにかく、怪しく美しく楽しく幻想的で、ワクワクした、中学生のころ、中に入ることができず、想像していた自分の中の60年代アングラ劇「天井桟敷」のイメージそのままで感動した。暗転が多いが、通常の芝居の暗転とは異なり、闇が舞台の要素のひとつになっている。昔、「アングラ劇は闇を味方につけた演劇」と言った人がいたけれど、まさにそのとおりだと思った。

    ネタバレBOX

    少女クララがおじのドロッセルマイヤーに似た時計修理人と一緒に人形の国へ旅をする。人形の国ではマウゼリンjクス家のねずみと対立し、ビルリパート姫がねずみ王子の剣で眠らされてしまう。クララたちは王さまから姫を起こすよう命じられ、失敗したら死刑だと言われる。森の占い師・不思議婆さんから「世界一固いくるみを割って食べさせることができれば、姫は助かる」と教えられるが、その資格があるのは「かみそりで髭を剃ったことがなく、長靴を履いたことのない男の子」。この条件にかなうのは時計修理人の甥・コッペリウス。コッペリウスは姫の覚醒に成功するが、ねずみ王子に胡桃割り人形に変えられてしまう。クララの胡桃割り人形を白いバイオリンの箱に入れて家に持ち帰る。クララは「目を開けているときには見えず、目を閉じたときに見えるもの」の謎を解き、「それは夢だわ!」と気づいたとき、夢に現れたすべての人々がやってくる。
    俳優たちは衣装を脱ぎ捨て、黒のレオタード姿で舞台を去る。脱ぎ捨てられた美しい衣装が舞台に残って終わる。、すべては夢の中の出来事。
    寺山はこの作品に「世界がグロテスクに歪み、われわれの目玉の入れ替えが行われることも起こっている」という警告を込めているそうだが、難解な部分はよく理解できなかったものの、幻想劇はじゅうぶん楽しめた。
    コッペリウスは本来「砂男」の名前だが、この芝居ではくるみ割り人形の王子と同一人物。闇の中を目玉が火となって回ったり、歌うオペラ時計が登場したり、見世物小屋のような面白さ。
    帰りの駅のホームで「オチのない芝居はよくわからないねぇ。あの芝居でいったい何を言いたかったんだろう」と若者たちが困惑していた。
    CoRichの情報欄を見ても万有引力への反響は少なく、こういうアングラ芝居が若い層にはあまり受けなくなっていることは事実らしい。

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