Dの呼ぶ声 公演情報 Dの呼ぶ声」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★★

    すがすがしい感動でした
    東大系劇団「Radish」の旧メンバーを中心に結成された「劇団たくあん」。それぞれ社会に出て演劇とはいったん縁が切れたものの、「やっぱりまた演劇をやってみたい」と集まり、新たなメンバーも加わっての旗揚げ公演。卒業して何年もたつのに、DM送ってくれてありがとう。
    「入場無料(カンパ制)」がきいたのか、入りきれないほどお客が詰め掛け、4階のモニターで観劇する人まで出た盛況ぶり。
    「CoRichで公演を知った」という声も何人か耳にしたので、情報UPした甲斐があった。次回公演以降、観劇料金をとるかどうかは未定だそうで、「有料公演の際はCoRichのチケプレに協力してください」とお願いしておきました。
    学生のころ観てたメンバーなので、芝居の内容はまったくわからぬままご祝儀気分で出かけたが、古城十忍は前から興味を持っていた作家で、こちらも未見。「Dの呼ぶ声」のDって誰だろう・・・・?

    ネタバレBOX

    2日間公演の初日で、観客整理に手まどったのか開演が遅れたうえ、前説的導入部から開幕までがまた長くて間延びした。隣席で「こんなに遅れるって、自信がないから出ない!って役者がトイレに閉じこもって出てこないんじゃないの(笑)」という声が。でも、無事始まった(笑)。
    この劇団の前身、すなわち私が観ていたころの東大系劇団「Radish」は、アンドロイドとか、人間の記憶や深層心理を扱った知的な芝居をやっていた。本作もそのころのイメージに沿った内容でひと安心。
    物語はある年の2月の火葬場から始まる。一見したところ、姉妹なのか友人なのか、楓(金岡典子)と桜(岩橋佑佳)が故人の思い出話をしながら「涙が出ない」「出た」と言い合っている。
    それから時間を遡り、この芝居は10月から2月までのエピソードをつないだものとわかってくる。
    2月に亡くなったのは門脇誠一(山口統)という認知症の老人。そして彼の介護をしていたヒューマノイド(人間的なロボット)の椿(福永加奈子)も共に荼毘にふされたが、これはルール違反。ヒューマノイドは所有者が死亡した際、提供元が必ず回収し、スクラップ処分して記憶チップもリセットすることになっている。ヒューマノイドは所有者の死後、完全に抹殺される運命にあるのだ。
    火葬場にやってきたビジネスライクな回収者の朽木伸太郎(飯田真人)は椿も一緒に燃やしてしまったのではと疑い、楓たちに強く椿の引渡しを求める。
    椿も桜もヒューマノイド。楓は、難病のために生まれてからほとんどの時間を病院で生活してきた若い女性患者に付き添い、精神的はけ口となってきたが、患者が28歳で亡くなったいまも、その記憶を守るため、回収から逃げて生活している。
    桜はアクト(遠藤崇光)というヒューマノイドと共に天野家で生活していた。アクトは、天野家の息子・飛雄(副田隆介)が交通事故で大怪我をして入院中、母の響子(志賀亮子)が寂しさから購入したが、飛雄が退院後、響子はアクトを溺愛していたので、存在感のうすれた飛雄はアクトに嫉妬し、睡眠薬自殺しようとする。アクトは「ヒューマノイドは自分で意志決定できない。寿命も外から決められる。人間はいろんな可能性を持ってるのだから、死なないで!」と飛雄を止める。天野家にはもう1体、コンビニで売っている簡易ロボットがいて、アクトが飛雄にコンビニロボットの説明をする場面が、ロボットの有限性を表現していた。
    門脇誠一が椿と葬儀の予行演習をしているのをみつけた息子の航平(反中望)は椿を激しく責める。椿の定期メンテナンスに訪れた朽木は人間的感情を表現できる椿の様子に不審を募らせる。さらに以前、誠一はヒューマノイドを集め、幽体離脱など「死」に関するセミナーを開いていた。
    ヒューマノイドたちは製造の段階から寿命が決められており、寿命の長さも3段階あるが、ヒューマノイド自身は自分の寿命を知らないという。
    題名のDというのはセミナーでひときわ熱心な受講生D(反中望)のことらしい。椿とDは、ヒューマノイドの寿命が尽きる直前の兆候であるひきつけを起こし始める。
    楓は非情な朽木こそ実はヒューマノイドではないかと疑う。回収を迫るうち、朽木はある記憶を取り戻す。楓と朽木は、同じ情景を憶えていた。かつてともにある人のもとで、ヒューマノイドとして生活していたらしい。朽木や楓の記憶は抹殺されていなかったのだ。
    一種のSFものだが、しみじみとした感動を残し、よき旗揚げ公演となった。
    ほのぼのした好々爺を自然に演じた山口、人間への憎しみを隠して非情に業務をこなす朽木の飯田、いかにもヒューマノイドらしい雰囲気のアクト役・遠藤の3人が特に印象に残った。
    今回は学生時代と違い、演出を特に決めず、みんなで話し合って作り上げたそうで、こういう「純粋に演劇が好き」という劇団があってもよいと思う。感心したのは、今回が演技初体験という人もいたのに、芝居の完成度は高く、素人くさくて観ていられないという俳優が1人もいなかったこと。
    そのためか、カンパ箱には千円札があふれんばかり。千円以上カンパした人には特製手ぬぐいがプレゼントされた。
  • 満足度★★★

    よかったですよ。
    最初は、眠くなってしまいましたが、途中から引きこまれました。これからも感動できるお芝居を期待します。

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