残影 公演情報 残影」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★★

    忘れてしまった物が。
    この舞台には沢山あります。
    人としての誇りや、優しさ、思いやり。
    常に日常存在しているにも関わらず、最近はすっかり忘れてしまっているそれらを、
    実にじんわりと伝えてくれる作品でした。

    やっぱり藤田さんの世界観は優しさで満ち溢れていました。

    一年分の涙を流した気がします。

    美しい所作や殺陣も、板に乗っている方々に観て欲しいです。

    川畑さんの人間味溢れる芝居も必見です。

  • 満足度★★★★★

    戦うものたちよ


    照明、導入音楽、構成、キャストらの演技力、どれも素晴らしい。終盤に押し寄せてくる郷を守る民の良心に触れて、号泣しハンカチを片手に目を赤くして見入った公演だった。夕役の関田豊枝が怪我のため降板したが、関田といえば泣く子も黙るほどの正真正銘アクション女優だが、交代した保利雅子の演技力と強い眼差にも魅了された。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    所は北越長浜藩。時は幕末1868年。
    新政府の軍資金として隠し金山を提供することで長浜藩の安泰を願う長浜藩筆頭家老・馬渡元安は同じ藩に住む下級武士・伊坂源吾を使って日影沢の金山を奪取しようと企む。その為に「誰もが笑って暮らせる新しい時代の為には小さな犠牲は不可欠だ」などと伊坂に尤もらしいことを吹き込んで躍らせる。

    戦闘の武士と化した井坂はその最中、胸の病に伏していた妹美鈴を失い、その結果、感情のないまるでガラス玉みたいな目をして戦っていた。その戦い方は何も映っていないかのような目をしながら真っ暗な穴を彷徨う一匹の鬼のようだった。

    一方で、これを阻もうとする馬廻り筆頭・五明重佐と夕と郷の農民は一丸となって井坂らに対抗し、五明重佐と佐伯の説得によって心が動かされた井坂はどちらに真実があるのかと悩んでしまう。

    また人の世の絆や温もりを抱いて生きている農民らや夕の心に触れて井坂は今更ながら、「光ある所には影がある。その影を知りたかった。」とかつて美鈴が好きだった美しい夕焼けを見て自分の進むべき道を確信するのだった。

    やがて、守るべきものを守る為に井坂は長浜藩の逆らい日影沢の為に命をかけ、井坂の幼馴染の水間は井坂の遺言を守り、悪家老・馬渡元安を倒す。こうして有志らの命の犠牲の上に新しい夜明けがやってくるのだった。

    光と影に彩られたエンディングの照明も美しい。まさに残影だった。

    ああ、こうして日本は戦うものたちのお陰で今があるのですね。学校でも会社でも戦うものたちの姿は美しい。

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