夜、夜中 公演情報 夜、夜中」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    闇に挑んだ異色作
    今回は劇とコンテンポラリーダンスを組み合わせたような実験的なパフォーマンス。
    主宰が作・演出を担当する劇団が多い中、害獣芝居を主宰する浅沼ゆりあさんは自身で脚本は書かず、「身体を使った表現」を追求し続けている人。何度か上演している「火學お七」の初演は大学の新人公演だった。大勢の新人を起用し、アングラ群集芝居をまとめあげた手腕には目を見張ったものだ。
    久々に届いたDMのカードのようなミステリアスなデザインに惹かれ、出かけることにした。この公演、DMが来たのも公演間近で、HPにも情報がUPされておらず、宣伝がふじゅうぶんだったのが残念。WEB担当者が今回出演していなかったためかと思われる。

    ネタバレBOX

    会場が、浅沼さんがかつて所属した明治大学の「実験劇場」の客席そっくりにしつらえられていて、懐かしかった。
    夜。暗闇の中で、ひとりの少女が、闇の気配に身構える。観客も共に闇をみつめる。若い女性たちのとりとめのない会話が聞こえてくるのも暗闇の中。
    夜のドレスを纏う女たちは、夜の精だろうか。黒、ダークブルー、真紅と、ドレスの色が変わる。タンゴの調べが怪しく響く。
    夜の精と少女たちの動きを見ていると、歌舞伎の「だんまり」を連想した。「だんまり」は、様々な扮装をした役者たちが暗闇の中を手探りで歩き、多くはひとつの「宝物」を互いに奪い合って、最後は全員見得を切って幕となる短い舞踊劇(長い演目の一場面の場合もある)だが、「最近の役者は本当の闇を知らないため、だんまりの歩き方が下手」と言われて久しい。しかし、この公演では、俳優たちの歩き方がとてもよかった。若い歌舞伎俳優の「だんまり」より、闇の掴み方が巧いのではないだろうか。公演が行われたアトリエのある夜の住宅街もひっそりとして、とにかく暗く、闇に始まり、闇に終わった公演。観終わって江戸川乱歩の世界を浅沼さんに演出してもらいたいと思った。

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