8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』 公演情報 8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★★

    必ずしもコメディーに固執しないことが勝因
    当劇団初見。
    舘そらみの劇作のファンであることから、観劇。
    コメディー劇団と舘そらみというまったく異質な存在が交わるとき、どのような融合が見られるか期待を寄せての観劇であった。

    30分のショートショート「欲の整理術」と1時間強の「ガハハで顎を痛めた日」の2本立て。
    「ガハハ」は相応に楽しめる作品として仕上がっていた。

    ネタバレBOX

    まず、「欲の整理術」であるが、映画「猿の惑星」ならぬ、「豚の惑星」よろしく、豚に支配される世界における人間たちの反乱を描いたシニカルな作品。
    知能を身に付けた豚が闊歩する世界において、圧政に耐えきれなくなった一部の人間が起こす革命の顛末を描くが、脚本の問題なのか、シリアスなストーリーをむりやり、コメディ仕立てにしようとした演出と脚本のミスマッチのせいなのか、メッセージがまるっきり伝わってこず、残念な作品となってしまった。

    「やはりコメディーと舘の作品の融合は難しいのか、、、」という気配が充満し始めたころ、開演となった「ガハハで顎を痛めた日」は、そんな空気を大きく変える良質な作品であった。

    舞台は着任を翌日に控えた新米中学教師たちの研修所。かれらは今停滞する教育界に風穴をあけるべく採用された社会人経験のある中途採用者たち。
    かれらは、来る教師生活に備えて、教師役と生徒役に分かれて、いくつかのシチュエーションを模擬的に演じてみる。テーマは、「暴力」、「窃盗」、「いじめ」等々。
    登場する5人の新米教師たちは、それぞれ、経歴も個性も異なり、教師を志したきっかけも異なる。しかし、ロールプレイングを通じて、一人ひとりが抱える不安が明らかになるとともに、かれらがこれから訪れるであろう困難に真しに立ち向かおうと考えているひたむきさがひしひしと伝わってきた。
    また、各ロールプレイングの合間には、かれらが明日から担任するであろう中学生たちの日常が描かれ、ピリリとアクセントを加えている。

    「ガハハ~」はコメディータッチで描かれることはなく、舘の脚本を十分に理解していたことが良質な作品を生み出すことができた勝因であったように思う。

    8割世界には、コメディーにこだわらず、いろいろな作品に取り組んでほしいと願う。また、それを可能とする演出家、役者陣がいると感じた。

  • 満足度★★★★

    8割世界の新しい世界
    8割世界が売出し中の女流作家館そらみの新作二本を一挙に上演するという魅力的な企画。コメディ一直線の8割世界と社会派のドラマが多い館そらみがどう融合するのかと興味深く観たが、コメディではないものの見事に8割ワールドになっていた。

    1本目は近未来を舞台にしたシュールな作品。これを初演出の高宮尚貴がコメディタッチの作品に仕上げた。終わりがやや尻切れとんぼだったが面白かった。2本目は、中学校の新人教師の物語。配属前日の光景を見事に諷刺している。

    難問だらけの教育現場だがそれでも先生を目指す新米たちの悲喜劇を的確に描いている。こちらは鈴木雄太の演出。ラストシーンが素敵で観ていて救われた感じがした。

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