満足度★★★
Cプログラム
氷河期を迎えた地球から火星に移住した人類を描いた物語というのはA・Bプロの時にパンフから予想した通りではあったものの、今まで観てきた小林脚本作品(舞台・映像とも)からすると意外なほどドタバタ系の笑いがあってちょっとビックリ。移住した火星でもまた災難に見舞われて人類がかなり減り、なおかつ治安も維持されていないという悲劇的な状況を緩和するために笑いも盛り込んだのかしら?などと考えたりして…。
が、そんな状況の中、かつて火星に対して行なったテラフォーミング(「アースレッド」って…(笑))を地球に施せば帰れるのではないかという流れになり、青くなり始めた地球が臨まれるという楽観的なラスト(欲を言えば上手後方の白い地球が青くなるのも見せて欲しかった)は、地球が全球凍結してしまう物語でどちらかと言えば悲観的な結末のA・Bプログラムと対照的。
内容も含めてアチラが往路でコチラが帰路と、キチンと対を成している、な印象。
そんなワケで、それぞれ単品で観てもなんら問題はなく、両方観ればより楽しく、しかし両方観るのであればCを後にした方がより良い、ってところか。
満足度★★★
A+Bプログラム
2040年から始まった氷河期をめぐるストーリーで、この日はAプログラム・劇団Peek-a-Booの「Blue Mola mola's Dreams ~蒼きマンボウの夢~」(約65分)とBプログラム・劇団居酒屋ベースボールの「pink irony」(約75分)のカップリング。(途中休憩10分)
同じテーマで書き下ろし競作というのは時々あるが、本作の場合は同じ世界を違う劇団・違う作家が連作中篇で描くスタイルで両編がリンクしているばかりか登場人物の一部は両方に登場しキャストが相互乗り入れしているというのが独特。
さらに「Blue…」は2040年から2090年までを年代記的に描いたタテ軸的なもので、「pink…」がその部分部分を描くヨコ軸になっている構成も上手い。
で、「Blue…」のラスト、火星へ移住せず地球に残ることを選ぶマスターに「滅びの美学」や「沈没する船に残る船長」など感じ、『コクーン』をもちょっと思い出す。
映画との関連では氷河期なので『デイ・アフター…』という表面的な部分でなく、未来に人類が直面するであろう全地球的災害を描くことにローランド・エメリッヒ監督の作品群を連想。
そんなワケでスケールの大きいSF作品ながらよくぞこのサイズに収めたもんだと感心。
また、居酒屋…は初見だったものの、それぞれの劇団の色がよく出ていたのではあるまいか。