実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/08 (木) 19:00
久しぶりに別役さんの不条理劇を見た。しかも二本立て。別役さんしかないと思われる、電柱に裸電球、そのわきにベンチというセット。見る前から期待が高まった。
1本目、「トイレはこちら」は電柱の脇に踏み台、天井から首くくりの縄。一見して自殺をめぐるお話かと思いきや、この首くくりの縄よりもベンチが効果的に使われる。主人公は最初に登場する自殺志望の女性でなく、後から来た「商売」をする男性だった。
この男性に、女性は積極的に声をかけていくのだが、実は次第に男性が不条理な会話の主導権を握っていく。首くくりの縄が実際に首にかかることはない。この男性の商売をめぐり、何とも言えない不条理劇が進んでいく。
もう一本のいかけしごむは、とんでもない発明品をめぐる不条理会話だ。やはりベンチが効果的に使われ、なぜか1本目と違ってベンチには「座らないでください」の張り紙が。同様に女性と男性の不条理会話が続くのだが、ここでも無口そうだった男性が、会話の主導権を握っていくのがおもしろい。
別役作品は一度見たらやめられない麻薬のような快感がある。楽しい夜だった。
実演鑑賞
満足度★★★
2作品ともパッとしない男と口数の多い女のお話。立ち居振る舞いも言語も明瞭だが会話がずれている系の不条理劇である。9月に観た別役作品『病気』は男が医者と看護婦(あえて「婦」にしておく)によってやられっぱなしなところがツボだったが、今回はどちらも男が結構反撃するのでマゾ的な期待は満たされない。そこが不満なのではあるけれど、演者次第でどうにでもなる作品なので今回の配役が私向きではなかったということなのかもしれない。45分+10分休憩+45分