なんでもねぇが、突然バーンと落ちてきた ただそこに転がる日 公演情報 なんでもねぇが、突然バーンと落ちてきた ただそこに転がる日」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★

    すごい舞台でした
    舞台セットがすごい、登場人物もすごい、ストーリーもすごい、けれど展開が速いせいか早々とストーリーについていかれなくなりました。観客は舞台は1度しか観ないのだということを知ってください。

  • 満足度★★★★

    人生は、ライク・ア・ローリング・ストーン。
    とりあえず、周囲にいるひとたちに合わせて適当に笑ったり、相槌うったり、時々ジョークなんか飛ばしておけば避難される機会から逃れられることだろう。社会人たるもの顔で笑って心で泣け。的な教訓は美徳として脈々と受け継がれていると思しき今日において、そのようになれない者はおはじきみたいにはじかれて組織の枠からいとも簡単にあぶれてしまう。
    普通に暮らす。って、まともになる。ってどういうことなのさ。とつくづくおもう。
    この物語の主人公は、苦虫を噛むように押しだまって黙々と何でもない毎日を消化していく忍耐があるだけの、しかし曜日感覚が欠落してしまった類の若者で、周囲は彼の気持ちなどお構いなしに好き勝手にやりたい放題、身も蓋もないオチも微妙でくだらないジョークがマシンガンのようにぶっ飛んでくる。両者のテンションの温度差がものすごい。
    相手の立場になって物事を考える、という人間の初歩的なことがすっかり抜け落ちていて感心する。惨たらしいテロリズムだった!

    ネタバレBOX

    あ、逃げるなら今のうちですよ。だってコレはテロだもの。
    なんてオープニングからはじまっちゃうストーリー。

    サトウは木造オンボロアパートに暮らしている、NO FUTUREな若者。
    先日一年ちょい勤めていたリフォーム会社をクビになり、今はおっかさんからの仕送り(フロム青森)が主な収入源。仕事を探すつもりも、理不尽な社会に中指を突き立て反抗する気合いも全然なくて、コンビニ弁当食ったりいいとも見たりしながら悠々自適(?)なニート生活を送っていたが、ある日の昼時、大家からサトウの住むアパートを近々取り壊すことを聞かされた。
    最悪な気分に浸る間もなく腹を空かせた全身真っ赤に着飾ったナゾの女がどこからともなくやってきて勝手に宅配ピザを注文するわ、ハレルヤ灯とかいう万人の幸福を願うために布教活動を行っているらしい新興宗教団体が押しかけてくるわ、NHKがLOVE過ぎる集金オッサンはやって来るわ、ピザ屋のバイトくんからは金貸せ!だなんて軽く恐喝まがいなことまでされるわでサトウの小部屋はたちまち小さな戦場に。

    カミからのSEX or DIE!のお告げのあったらしいハレルヤ灯の一員の女は、ピザ屋のバイトを誘惑しちゃってせっせとやりまくり、NHKがLOVEすぎる集金オッサンはドレミファれっしゃ(おかあさんといっしょのエンディングテーマ)を全力で踊りまくり、ナゾの女はトイレに立てこもり、挙げ句、サトウが敬愛しているマイケルさんスリラー踊るわ、イナバ物置のオッサン出てくるわのそのどろっとしたエネルギー量の大きさに「すげぇ…」と呟いていたほど。

    で、好き勝手し放題な奴らの行いのどこかにサトウも参加できればよかったのだが…、あいにくどこにも馴染めなかったサトウは、ハブられたような孤独感に部屋がめちゃくちゃに荒らされていくフラストレーションが相乗効果となったのか、包丁をぶんぶん振り回してしまい、それをきっかけにして奇妙なパーティーはお開きとなる…。苦笑

    帰り際、NHKがLOVEすぎる集金オッサンは「受信料は払えよ。義務なんだから。」なんてサトウの肩をポンと叩いて会社に戻り、全身真っ赤のよくわからない女はサトウに会って一番最初に聞いた質問、「私が不幸な女か惨めな女かどっちだとおもう?」なんて、どちらにしたってサトウにはさして問題のないことをもう一度問いただし、その上理不尽の反対って何なのさ。って問いを投げかけ去っていく。
    サトウの住むボロアパートの目の前の道路を、輝かしい未来約束します。そんな理想を訴え選挙カーを走らせるどっかの政党もサトウにとって何も意味のないことだった。


    物語の冒頭とラストで流れるゴダイゴのガンダーラがサトウの、雲を掴むようなぼんやりとした日常をなぞらえる唄として用られている。そういえばゴダイゴの由来は、GO DIE GOで、ガンダーラは三途の川を超えた者を想い、そちちの世界でお世話になるまで死を夢想するうた、であるはずだった。

    謎の女の言葉を借りれるならこの”ハイパー暗い唄”にサトウが何となく聴いてしまうまでの、心の揺れのようなものがもう少しあってもいいようにおもった。サトウなら自殺未遂くらいはしそうだな、うっかり薬にだって手を出しちゃいそうだな。っていうのがその理由。

    ハレルヤ灯と国主党の言ってることって基本的に同じだったので、ここは是非ひとつにまとめて、宗教×政治でメタ化して頂いてもよかった気がするのだけど、どうなのだろう。謎の赤い女と大家さんの言い回し(誰かのものまねをする時)が同じだったのもちょっと気になった。

    個人的なザ・ベスト・オブ・アクトは、ハレルヤTシャツの上からブラジャーつけて恍惚とした表情で官能的(?)なダンスを踊りまくった水色Tシャツ宗教女さん。(あぁいうはっちゃけ方、めちゃくちゃ好き!)

    自分の座った位置からTV画面の右上に小さく”ぶっ生きかえす!”とか張ってあったり、青森LOVEなのに何で壁画は富士山なの?と軽く心のなかで突っ込めるような配慮が随所になされていて好感持ちました。

    あと、非売品のティッシュもらいました。ありがとうございました。家宝にします。笑

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