ヒットパレード・スペシャル 公演情報 ヒットパレード・スペシャル」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★

    Aプログラム
    台詞はすべて心の声で、相手には聞こえないどころか表情や動作がまったく違う受け取られ方になって笑わせる「タッチ」はともかく、2編目以降は「優位性の逆転」が隠しテーマ?などと思ったのは深読みか?
    「重き荷を負いて」は終盤で思わぬ展開が2段構えで待っており、「天体観測」では結局兄の方が上手…と言うか妹が釈迦の掌の上の悟空のようにも思えてくる。
    「桜坂」は隠しテーマ(なのか?)もさることながら、当日パンフの「言い訳」(笑)に大いに納得。あのザラつきはそういうことからなのか…みたいな?

  • 満足度★★★★

    Bプログラム
    クライマックスでドサクサ紛れに判明する “相談したいこと” の内容でドッと笑わせる「待つわ」、出オチ的なものも含み全編笑いの「TAIN-TRAIN」に続く「大阪で生まれた女」も営業会議(?)の様子で笑わせるのでBプログラムはコメディ編か?と思っていたら、面白うてやがて哀しき…という展開で、しかし力強く立ち直るというのはイイ。
    さらに構成が独特にして抜群な「サイレント・イヴ」で締めくくる構成は前菜やスープなどが出されてメインディッシュに至るコース料理の如し。

  • 満足度★★★★

    Cプログラム
    出勤前のサラリーマンを描いた一人芝居「サムライ」、だらしない男とひたすら尽くす女性の「守ってあげたい」という(部分的に)身につまされたりもする(爆)「ダメ男見本市」的な前半、夫婦ではない男女芸人コンビの解散ステージ後、女性の切ない想いがしみる「横恋慕」、クリスマスイブの “小さな奇蹟” に心温まる「すてきなホリディ」という後半の対比が鮮やか。
    また、「すてきな…」は回想場面への切り替えとその見せ方も巧い。(とか言って最初はちょっと戸惑ったのだが…(笑))

  • 満足度★★★★

    少し愛して。長ーく愛して。
    Aプロに感動したので、急遽、予定を変更し、続けてCプロを
    観ることにした。
    作品の関係で、Aプロよりも★は少なく、4つとさせて
    いただいた。理由はネタバレでご判断いただきたい。
    ちなみにCプロのうち、「守ってあげたい」は大根健一が脚本、島本和人が演出、
    最後の「すてきなホリディ」のみ、ゲスト作家の高階經啓が脚本を担当し、
    大根健一が演出した。
    Bプロが観られなかったのが心残り。
    最近はTVドラマも映画も観客動員力が求められ、昔の邦画によくみられた
    「ちょっといい話」みたいな文芸路線の企画は通らない。
    だからこそ、私は演劇に期待している。
    演劇の世界もまた、突き抜けた新奇な作品に人気が集まる傾向だが、私が演劇に求めているものは少し違う。
    水木洋子や成瀬巳喜男が描いたような「大人の人生ドラマ」が観たい。
    大根健一は「30歳を過ぎて作った劇団なので、細く長くを目標にしてきた」と言う。そういう淡白な姿勢にも好感が持てる。
    “普通の生活の中の人間の毒”を描ける稀少な作家だと思うので「細く長く」続けていってほしい。
    「少し愛して。長ーく愛して」という劇団があってもよいではありませんか。

    ネタバレBOX

    「サムライ」はこのシリーズの記念すべき第1作だったそうだ。
    サラリーマンの小野寺(田辺日太)が朝、これから出勤するというところ。念入りに身だしなみをチェックし、いざ家を出ようとすると、「女子高生がたくさん乗ってくる」だの「オカマの上司が乗ってくる」「課長の愛人が乗ってくる」と何だかんだ理由をつけて出社を遅らせてしまう。どうやらこの男、出社拒否症にかかって長いこと休職していたらしい。課長の愛人のノダマユミが彼の鼻毛が伸びていることを指摘したことから、「ハナゲラ」と職場でからかわれたのがノイローゼの発端で、そのほかにも入社時に自慢の長髪を職場で切られたことを根に持っている。「学生時代は南こうせつ、井上陽水、吉田拓郎らを気取って長髪にしていた」と懐かしい名前が出てくるが、中高年のミュージシャンなので古すぎる感も。小野寺はだんだん錯乱し始め、「サムライ」の歌詞に出てくるジェニーという女性の名前をつけた白熊のぬいぐるみに向かって必死に苦衷を語り、もがき、号泣する。
    5本指の靴下をはいているのは、小野寺の自宅生活が長いためなのか。
    俳優の趣味ではなさそうだが確信は持てない(笑)。
    田辺は金田明夫や三宅弘城に共通する雰囲気の俳優。

    「守ってあげたい」
    売れない小説家志望の青年(小森健彰)と同棲している銀座のホステス(西尾早智子)。青年はパソコンの新型高速プリンタを買いたいが金がないと言う。以前もらった金も歩道橋を上っている途中で風に飛ばされ、失くしてしまったと。女は見え透いた男の嘘をかばうように、似たような出来事を自分も知っていると、いとこの失敗談を話し、逆に男に「作り話だろう」と矛盾点を突っ込まれる。このへんは笑いが出る。女がいやな顔もせず、1万円札を何枚か渡すたび、男は何かしら理由をつけて、馬券を買う金に当てようとする。女のヒモで競馬好きのダメ男なのだ。女は実家の父親の糖尿病が悪化し、父の退職金で両親が始めた弁当屋の仕事もままならないのでホステスをやめ、雪国の郷里に帰って親の面倒を見ると言う。半年分の家賃は大家さんに預けておくから、と。男は-15℃になると行動力が鈍る」と言いつつ、「車の運転も弁当作りも俺のほうがうまいからさ。一緒に田舎に行くよ」と初めて優しさを見せるところで終わる。西尾のこういう役は若い女優では味が出せない。だが、この男、大丈夫か?優しさと言うより、生活力がないので置いてけぼりになるのが嫌なだけでは?「-15℃」を理由に働かないのでは、と不安になった(笑)。
    お金に苦労する女と、女にたかる男を描く作品が多かった成瀬巳喜男の映画を思わせる作品だ。このへんの機微を描くには人生経験がものを言うが、大根はさすがだと思う。

    「横恋慕」
    漫才で長年コンビを組み、どんどん後輩に追い抜かれて売れないままの2人(島本和人、湯澤千佳)。女は35歳になったのを潮時に芸人をやめ、就職を決めたと言い、男にピン芸人になるよう勧める。女は独身で、男は既婚者。
    「女子高生のときに大学生だった男と組んでいたら売れたかもしれない」と回想する女。男は学生劇団に所属していたが、女は一度も男の自宅に遊びに来なかったという。漫才に使った思い出の張り扇。しかし、それは手先の器用な男の妻が作ったものだと別れ際に初めて女は知る。お互い、憎からず思っていたのに一線を越えなかった男女の間のほろ苦くも温かな思いを描いている。小道具で語る巧さ。
    巨漢の島本は愛嬌のある笑顔に男の色気がにじむ。この島本が「守ってあげたい」の演出を担当しているというのもこれを観て納得。

    「すてきなホリディ」
    ミニスカサンタ姿でティッシュ配りをする女(塚原美穂)が高校の演劇部の先輩(大岡伸次)とバッタリ再会。男に手伝いを頼む。男は母がイスラム教に入信したため、クリスマスの思い出がないと言う。女はコスプレ、パフォーマンスでティッシュ配りをする会社を起業したが、この不況でうまく行かず、社員にも逃げられた。男は宗教が原因で子供がいじめにあい、自殺を図ったことから妻に離婚される。互いに弱みを隠しての再会。「メリークリスマス」とは言わず、「ハッピー・ホリディ」と言う男。イスラム教という設定がいかにも突飛に思え、そのこと以外話に特徴がないので、あまり面白く感じられなかった。女がティッシュを客席に配る場面で、知っている顔の客に配ろうと探しているのか、動きが鈍ってギクシャクするのが気になった。こういう小道具は思い切って気前良く、リズミカルに配らないと楽しさが出ない。
    高階は竹内まりあのこの曲を「古き良きハリウッド・ミュージカルのよう」と評している。本作にあまりその感じが出ていないように思え、残念。
  • Aプロ
    二人もしくは 一人で繰り広げられる会話劇
    情緒とか
    いろいろな
    広がりのある
    かんじも うけとりました

  • 満足度★★★★★

    こんな芝居が観たかった
    旗揚げから10周年だとか。
    「tea for two」という劇団名にちなみ、大根健一はは文字通り
    「二人でお茶を」という雰囲気の芝居を書いている作家。
    だが、私がここの芝居で最初に観たのは法廷劇であった。
    馴染みがある東大の学生劇団出身らしく、知的なコメディーで
    面白かった。
    2回目に観たのがまさに「二人でお茶を」系統の芝居だったが、
    悪くはなかったものの★3つという印象の芝居で、以来ずっと観にい
    ってなかった。
    今回、日程の都合上、千秋楽のAプロしか行けなかったのだが、
    あまり良かったので、急遽、午後の予定を変更して、Cプロも観ることに
    した。
    年齢を重ねた人ほど深く楽しめる芝居だと思った。
    オーソドックスだが、ちゃんと毒のある大人のドラマが描かれている。
    こういうのは単なる想像力や技術では書けない。
    ちゃんと人情の機微についてわかっていないとね。
    その点では、往年の邦画のような味わいのある作品でした。
    まず、Aプロについての感想を書きます。
    「天体観測」のみ、ミノタケプランの石井信之の作・演出。
    「桜坂」は大根が唯一好きになれない歌だそうだが、
    好きになれない歌で、こんなすばらしいドラマが作れるなんてねぇ。
    面白い。

    ネタバレBOX

    「タッチ」
    歌詞の世界とは直接関係ないストーリー。
    満員電車で遭遇した2人の男女(大岡伸次・嵐田由宇)。
    男は痴漢とまちがえられないかとヒヤヒヤしながらも美しい女性に惹かれ、コンタクトを取りたいと言う願望が芽生える。女性は、最初は密着される不快感を覚えるが、痴漢ではないことがわかり、男が高校のとき憧れていた先輩に似ていることに気づき、知り合いになるのも悪くないなと思い始める。
    双方の妄想は次第にエスカレートしていくが、思いはすれ違ったまま、無情にも別れの時が訪れる。
    ありがちなシチュエーションだけに共感できる部分が多いのか、観客は
    トンチンカンな妄想合戦に大笑いしていた。巧い!

    「重き荷を背負いて」
    小型OA機器の営業に飛び回るキャリアウーマン(倉田知美)。
    まさに「重き荷を背負いて」だ。営業先での売り込みを描いた一人芝居だが、
    倉田は実力派女優だけにぐいぐい演技で引っ張っていく。
    このキャリアウーマン、子持ちのシングルマザーらしく、「重いのは、
    子供を抱えるので慣れてますから」と言い、一礼した直後に、リュックの中の
    機器見本がドサドサと床に落ちてしまい、何とも言えぬ哀感が漂う。
    旧型機器は製造中止でアフターサービスがきかないにもかかわらず、会社は承知で在庫品を売れと命じる。
    開発部に中途入社した長谷川という男性社員が年上の女性と
    恋仲になるが安月給のため、この商談がまとまらないと昇給できずに
    結婚できないという事情がある。最後の台詞によると、長谷川の
    相手は彼女なのか?
    「頑張れ!」と心の中でエールを送りたくなる。

    「天体観測」
    都会で一人暮らしの妹リエ(湯澤千佳)のもとに実家の農家から出稼ぎの兄
    (小森健彰)が上京して泊り込んでいる。兄は借金があるのに息子の
    クリスマスプレゼントに高価な天体望遠鏡を購入し、妹に責められる。妹は妻子ある男性と不倫しているらしい。
    兄がシャンプー、リンスの容器に区別する字を書いたため「シ、リになって
    みっともない」と妹が怒るが、逆に読めば「リ、シ」で兄の借金の「利子」
    と符合するという場面も入れてほしかった(笑)。
    互いの非を責める2人だが、認め合ってもいる。流星に「リエの幸せ!」と連呼する兄。レジ袋から妹が兄の好きなチューハイやツリーのミニチュアを取り出して1個1個テーブルに並べていくことで和解の気持ちを表す演出が心憎い。

    「桜坂」
    職場を寿退社し二児の母となった先輩ユミ(畠山明子)と同期で唯一独身OLのマキ(渡邊亜希子)が喫茶店で会っている。ユミはマキに早く幸せな結婚をしてもらいたいと言い、見合相手を何人も紹介しているが気に入らない様子。マキはユミの夫である課長と不倫していたのだ。
    誕生日の1月5日にちなみ、このテーブルも15番テーブルでユミの席に「彼」である夫がいつもすわっていたと言うことから、ユミは15の数にちなんだ覚えのない商品が家に届く嫌がらせをマキに告白する。
    マキは居直って意地悪なことを並べ立てるが、ユミはなじりもせず、じっと受け止める。
    経験から言うと、世間にはこういうけなげな妻も実際存在する。
    2人の女の間を立ち回っている男(夫)の姿が想像できる。
    畠山は演技経験が豊富なだけに、こういう受けの芝居が巧い。
    服装からしても、小綺麗なマキに対して、所帯くささがにじみ出ており、
    その姿でマキに「いまから高いお店連れて行ってよ」と毒づかれても、
    耐える表情がいい。
    しかし、大根健一はどうしてここまで女性心理に詳しいのか。
    脱帽する。
  • 満足度★★★★

    表裏の両側から
    物語の登場人物たちそれぞれの抱えるものや思いが
    じわっと滲み出てくる。

    それがうまく物語の味わいに繋がって・・・。

    それぞれのちょっと複雑な味わいに
    したたかにくすぐられながら
    見入ってしまいました。

    ネタバレBOX

    Aを拝見。

    4作品ともくっきりと物語が見えて、
    しかも
    表裏それぞれから滲み出てくるものに
    観る側の心を幾重にもとらえる力があるのです。

    また、心の綾の出し方も
    シチュエーションに応じて
    絶妙に力加減がコントロールされていて・・・。
    満員電車の男女のようにもろにでてくるものから
    天体望遠鏡をめぐって柔らかく深く場を染めていくものまで。

    物語の並び順も、どこかユーモラスな前菜から
    ちょいとシニカルな現実の味わいの一品があって、
    じっくりと染入るような時間を醸し出す一皿の後には
    ぞくっとくるような切っ先があって。

    飽きさせず、しかもはずれがない様々なテイストに
    気が付けばたっぷりと満たされていて。

    他のバージョンを観ることができなかったのが
    本当に残念に思いました。
  • 満足度★★★

    Cでした
    オーソドックスでした。再演もふくめて地味め。

  • 満足度★★★★

    さすがスペシャル
    Bプロ観ました。さすがスペシャルで,短編集にもかかわらず,それぞれの思いが残るいいストーリーだったと思います。せつない思いの断片がまだ突き刺さっています。時間があれば,Aプロ,Cプロも観たいところです。

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