『錆色の木馬』 公演情報 『錆色の木馬』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    山崎一演じる老人が誰なのか、この部屋はどこなのか。観客も一緒にわからなくなってくるような芝居だった。しかし、最後はリア王の名セリフが痛いように刺さってくる。「生まれたばかりの赤ん坊がなぜ泣くか知っているか。この阿呆どもの舞台に引き出されたのが悲しいからさ」。

    最初、老人が別の人(観客には見えない)に話しかけてる。無くしものを探している。見えない人が出ていったと思うと、若い演出助手が入ってきて、「開演前です。リア王できますか」という。老人は身に覚えがないらしい。それどころか、実は最初にいたと思っていた相手は、老人の見た幻らしい。認知症なのだ。すると今度は別の中年男(大石継太)が、「お父さん、ここは僕の部屋です。お父さんの部屋は向こうです」と。すると、老人はむすこに向かって、リア王のセリフを澱みなく語り出す。息子もケイト伯になって受ける。細かいところは矛盾したままだが、それでも、大筋はだんだんわかってくる。そして、認知症らしい老人は、昔、体に染み込んだリア王のセリフが溢れ出してくる。

    山崎一の括弧付きリア王の迫力はすごかった。80分

    ネタバレBOX

    認知症になった不安と孤独と、全てを失ったリア王の絶望がうまく重なり、リア王のセリフが生々しく響いてくる。「必要を言うな」のセリフは、松岡和子さんに教えてもらっていたので、すごく響いた。そして、生まれた時に泣く理由のセリフが刺さる。

    最近上演のない「リア王」。重くて長くておおげさに思って敬遠がちだったが、すごく見たくなった。

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