家の内臓【作・演出 前田司郎】 公演情報 家の内臓【作・演出 前田司郎】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    「アレだから」的な前田ワールドが、うだうだと炸裂していた
    「家族」「温泉旅行」というキーワードが前回と共通していたが、前田さんの手によるものだから、違うものになるだろうと期待して観に行った。

    やはり違っていた。前回はハードな内容で、シンプルで簡略化された舞台装置がそれを引き立てていた。
    今回は、リアルな温泉宿内で、カバンやふとんやいろいろなものがある。それに包まれた話には、温かさがあった。

    めんどくさいけど、楽しい感じ。
    わかるなあ、その感じ、と思う。

    ネタバレBOX

    深夜で、ちょっとアルコールが入った状態のテンションが見事。
    言葉の絡み方がとてもいい。
    空気感までうまく作り込まれている。

    出演者がとにかくいい。
    「ほら、あれ」とかの言葉も、逆に平田さんの年齢だからよけいに活きてくる。歳取ると言葉でないことって多いし、深夜だし、眠いし。
    五反田団があと10年、20年たったときにも、こういう雰囲気になっていくのだろうなあと。

    とても眠い様子がまたいい。わかるその感じ、の演技が秀逸。
    細かい動きや位置、姿勢までもきちんとコントロールされ、それが自然の形に見えてくるあたりがうますぎる。

    夫婦も親子も会社も、そして劇団もみんな家族。
    夫婦はもともと家族ではないのだが、ある日突然家族になる。
    そして突然また他人に戻る。
    親子は、生まれたときから家族になって、両親が別れても、子どもが嫁いで名字が変わっても家族として続く。
    社員も長く一緒にいると、まるで家族のような関係になることもある。
    同じ職場にいたり、特に零細・中小企業ならば、そういう関係になる可能性は高い。

    別れて家族でなくなった元夫婦や親子が、同じ会社でまた家族になっていく(る)というねじれた関係性が面白い。「家族だ」と宣言しなくても成立する家族。たぶんそれは純日本的な感覚ではないだろうか。
    温泉旅館で、川の字に布団を敷き、うだうだするのがとても似合う日本の家族だ。
    何気ない会話と、1時間ちょっとの時間の中で、「家族」というテーマが見事に結実していたように思えた。

    とてもいい舞台だった。

    しかし、「家の内臓」≒「家の内装」だったとは(みんなが勤めている会社が内装業・笑)。

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