エーヴァ・ムイル「Sold Out」 / 森下真樹「独楽犬イルツキー」 公演情報 エーヴァ・ムイル「Sold Out」 / 森下真樹「独楽犬イルツキー」」の観てきた!クチコミ一覧

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  • おしゃべりダンス
    ようやく始まったコンテンポラリーダンスのお祭り、ダンストリエンナーレトーキョー2009。その第一弾。会場はスパイラルホール。うっかり青山円形劇場へ行きそうになる。
    フィンランドと日本の女性2人の作品を上演。本来は無言のはずのダンスでどちらも言葉をたくさん使っているのは企画者側が意図的に並べたものだろう。

    ネタバレBOX

    1本目はエーヴァ・ムイルの「sold out」というソロ作品。ダンスというよりも一人芝居に近い。言葉は英語で、舞台奥には日本語の字幕が出た。前半は「愛」「メディア」「パフォーマー」をそれぞれ、ぬいぐるみ、ダンボール箱、本人という形で三角形に配置して、現代は「愛」が「メディア」、この場合はテレビ、の中にあるといって、実際にぬいぐるみをダンボールの中へ入れる。そして本人はそのテレビの前に座って、一方通行の愛を受け取るだけになる。テーマ自体は珍しいものではないが、表現のアイデアに工夫があって、可愛らしい感じがした。後半は舞台奥のスクリーンの裏側に移動して、横向きのシルエットが見える状態で、奥にあるらしいカメラが捉えた本人の正面画像がスクリーンにデカデカと映る。最初はインタビューアーのようにしゃべっているが、答える側の人物も実は本人が演じている。こちらの映像はライブではなく、あらかじめ撮影したものを使っているようだ。一種の自問自答を映像によって客観化する試みなのかもしれない。昔からつけているという日記の一部を読むあたりでは、空想癖の強い多感な少女像が浮かんできて、ちょっぴり痛々しさも感じさせた。
    作者は1980年生まれ。日常の個人的な思いを表現しているぶん、フィンランドの今どきの若い女性はこんなことを考えているのか、という親しみを覚える内容だった。母国語を使わず英語でこれだけの表現をするのは大したものだと思う。

    2本目は森下真樹の「独楽犬イルツキー」。出演は本人ともう一人、まことクラブの遠田誠。これは去年、青山円形劇場でやった「うず巻」のデュオバージョン。基本的にはネタ中心のコミカルな内容。伊藤潤二のホラー漫画「うずまき」のように、実際に渦を巻くということをモチーフにしてネタを構成すればかなり面白くなると思うが、アイデア的にまだ不足している感じ。ただし今回は独楽犬(狛犬?)とタイトルにあるので、うずまきは関係ないのかもしれない。一本にまとめた髪の毛がぐ~んと伸びて天井まで届いているという出だしの場面は今回も同じだが、前回はその場でゆっくりと回転していたのに対して、今回は正面を向いて客席にしゃべりかけていた。狛犬との絡みでいえば、神社の鈴についている長太い紐のようだった。

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