満足度★★★★
足掛け8時間に及ぶ大河ドラマ。演出と競演、物語を楽しみました。
・・・長い。
しかし面白い。
大河ドラマのような面白さ。
正味7時間弱くらいでしょうか。
それでも今回かなり切り落としたという。
第1部は百年戦争、第2部は薔薇戦争を中心に、
蜷川さんの描く大河ドラマ。
昨年の新国立劇場版(こちらは「正味」で9時間)に続いて
の鑑賞になり、予習が済んでいるような感じです。
きっと、今後もこの題材は、日本の戦国ものの時代劇のように
いろいろな解釈・演出・演技で繰り返し観ることになるのでしょう。
舞台は、前後の囲み舞台。
通常の舞台側にも客席を置いて、前後の客席を挟んだ形で
中央に横長に舞台、上手下手をドアのある壁でふさいで
そのドアを通じて役者さんが出入りします。
まずは真っ白な舞台の上の真っ赤な血の水溜りを、
掃除人という5,6人のおばさんたち
(現代の掃除婦のかっこう)が布できれいに
ふき取るところからはじまる。
そして、爆発や銃撃という現代の戦争の音が
フェードインして開演。
静かになったところで、
今度は、肉片?のような赤い大きめのカタマリが
ぼとぼとと舞台に落ちてくる。
この落ちる音も静かな劇場内に大きく響く。
これから戦争と死が描かれると宣言したような。
やはり演出で驚かされました。
この「落下」は、芝居の中で終始何度もあり、
薔薇戦争の象徴の赤い薔薇の花と、白い薔薇の花、
他にもフランス軍の白ゆりの花が、各陣営のシーンや、
各軍の優勢・劣勢などに応じて降ってくる。
このいろんな「落下物」があるたびに掃除人は
舞台を掃除します。
掃除人(さいたまゴールドシアターの劇団員)大活躍です。
それ以外には、時々出てくる王座の椅子くらいしかセットがないというシンプルさ。
おのずと役者さんたちの演技に集中します。
自分は見ているしかないヘンリー六世の上川隆也さん、
若き勇ましきジャンヌの悲劇と、
ヘンリーとは逆に気丈なマーガレットの大竹しのぶさん、
王に忠実に仕えていただけなのに失墜するグロスター公の瑳川哲朗さん、
他にも大勢の役者さんたちの丁々発止のやり取りと、
翻弄される彼らの運命をあらわす演技に、
強く引き込まれます。
物語も終盤では、勝敗が二転三転。
裏切りや変節の繰り返しとともに、戦闘の繰り返しが
多少少しマンネリしたかも。
こういう長い芝居では、役さん達と観客の間に不思議な
連帯感が生まれるのも楽しみの一部です。
満足度★★★★★
流石だ
かなり高いレベルの舞台だった。脇の人達まで見事な役者がそろった。とても見ごたえあり、今まで観たヘンリーの中でも頭一つ出てる感じ。蜷川演出も流石。休憩入れて、全・後半、約9時間。お疲れ様でした