俺の屍を越えていけ 公演情報 俺の屍を越えていけ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    ドラマチックなクロ組/やはり3組観て良かった
    文字通りのラスト公演は「クロ組」。3組の中では一番ドラマとしての
    面白さを楽しめ、もっとも「情」の濃い仕上がりになっていた。
    やはり3組通して観て、それぞれまったく違う印象で、役者が替わる
    だけでなく、野坂氏が演出も変えているというのを実感できた。
    2組、3組と観る人にはやはり割引特典を設けてほしかった。
    劇団としては「複数観てほしい」という意向があるようなのだが、ならば2組4200円、3組6300円のようなリピーター割引があってしかるべきでないかと思う。会場のキャパを考え、コアなファンだけ来ればよいと思ったのだろうか(事実、会場は常連さんや俳優が多く来ていた感じ)。「内容で勝負」という劇団のようだが、料金面のサービスも必要だと思う。
    今回、出演していない加藤裕の発案でふだんのブログとは別に、ボイスブログ「クロッポ」、「銀座でカトウをつかまえて」ブログを自ら立ち上げ、積極的に公演宣伝を展開。出演しない場合は傍観することもできるのに、出演者と同じ気持ちで公演に「参加」。当日はカウンター内でドリンクサービス係を担当するほか、銀座で観客と携帯電話をツールに鬼ごっこを実施するなど公演を盛り上げた。加藤自作のバナナケーキを、鬼ごっこの景品としてプレゼントしたり、場内でも1個100円で販売していたが、料金割引をしないなら、3組観劇者にプレゼントしてもよかったのではと思う。(ちなみに、自分はケーキもちゃんと購入しました。美味)。
    「クロ組」の感想はネタバレで。

    ネタバレBOX

    この組では「本荘」の唐沢龍之介が一番印象的だった。彼の本荘は放送作家としての才能を持ったタイプの如才のないディレクターに見え、人間臭い。
    「東根」の細身慎之介はリストラ候補となる先輩の「技術部長ムナカタ」への思いを3組中最も強くにじませた。「北上」の久米靖馬は明朗な青年を演じ、他の組の若手2人に比して一日の長を感じさせ、台詞に説得力があった(場内スタッフを勤める堀内、松岡の2人の「北上」が後方で久米の芝居を食い入るように見つめていた)。
    本荘、東根、北上の3人の芝居がガッチリ噛み合って芝居に厚みが出た。
    「郡山」の内田晴子は表情の変化が巧く、パワフル。ただ、派手なヘアスタイルはまるで70年代の流行歌手「欧陽菲菲」のようで、女子アナというより
    スナックのママに見えた。「夕方のニュースの花」は苦しい。「深夜枠」でしょ(笑)。岡田梨那の「松島」は鳥羽一郎の歌を歌う場面が3組中、一番ホロリとさせられた。ただ、気になったのは衣装で、赤のチュニックの後ろ裾だけが静電気でまくれ上がり、白のキャミソールがはみ出していたのがだらしなく感じた。
    「三沢」の薬師寺尚子は最も明るく、伸びやかな性格の娘で演じていた。
    ラストシーンで、北上の思いを知り、スタッフパスを持って2人一緒に走り去る
    演出が、この物語の救いとなり、未来へのわずかな希望へとつなげた。

    会場は自由席だが、この回は一部見やすい席が関係者用なのか劇団キープ席になっていた。座りたい位置の席がみつからないのかウロウロしていた客2人にスタッフ(劇団の俳優)が「出演者にお知り合いは?」と声を掛け、俳優名を答えると優先してその席に案内していた。自分が観た他の回ではそういうことはなく、席の選択は早いもの勝ちだったので、露骨に目撃すると気分は良くなかった。
  • 満足度★★★

    おもしろかったー
    銀座のシェアオフィスを使ったお芝居。
    こっちに転びそうな話の展開と思わせて、あっちに転ぶ、
    みたいな畑澤マジック、堪能しました!おもしろかった。

    シビアなストーリーですが、スペースがオープンだからか
    時折脱力系ギャグが混じるからか、比較的ライトに鑑賞。

    劇場以外の施設やスペースでお芝居するのは、過去にも
    円盤ライダーさんやタテヨコ企画さんなどで観ましたけど
    いずれも、その施設なりの背景が舞台になった作品でした。
    ラジオ放送局で演ったら、もっとリアリティがあったかもw

    ネタバレBOX

    罪の意識を感じずに、リストラ候補を挙げる方法。

    残したい人の名前をそれぞれに数名ずつ提出させて、
    票が入らなかった人、票数が少なかった人を選ぶ。
    ネガティブな投票より、ポジティブに救済投票にすれば
    良心の呵責も楽になるのではないかしらん?

    ずーっと、そんなことばかりを考えて観てました。
  • 満足度★★★★

    アカ、シロ2組観ました
    会議などに使用されるレンタルオフィスのスペースを会場にして、
    「会議」の劇を上演するという企画。ギャラリー公演やカフェ芝居と同様で
    臨場感・緊迫感があり、面白かった。原作はもともとは上演時間約55分で、
    のちに加筆して70分ものにしたそうだが、今回も70分バージョン。
    アカ、シロ2チームを連続して観ました。
    クロカミ未体験で迷っているかたがいたら、この機会におススメします。
    3チーム、フルキャスト入れ替えなのでアカ、シロでも確かに印象が違います。
    舞台となる放送局の雰囲気をより味わいたいなら、アカを。
    ワダ・タワーファンで彼の熱演ぶりを観たいかたにはシロをお奨めします。
    クロを12日に観ます。さて、どうなるだろう。

    ネタバレBOX

    TV局・ラジオ局を併設する放送局の会議室が舞台。
    フランス帰りの49歳の新社長(劇には出ません)のリストラ計画のもと、
    各部から召集された局員6名が会議を開き、クビにする管理職1名を決めなければ自分たちの中から1名を出さなければならないという、究極の選択を求められるお話。
    実際、放送局に勤務経験がある自分の個人的感想としては、
    アカはみんな本物に見えてリアルだったが、
    シロは演劇を観ているという感じがした。どちらがよいかは好みが分かれると
    思う。

    役者の印象で言うと、

    アカ・・・川本亜貴代の「松島」が面白い。報道部員らしく、マスコミによくいる
    タイプの女性だ。女子アナ「郡山」の手塚桃子は、部屋に入ってきた時から、
    「夕方ニュースの花」としての女子アナのオーラを発散。原稿を読むときの
    声の美しさも本物らしく、「花」の虚像の部分もうまく演じている。
    渡辺裕也の「本荘」は演技に安定感があり、この業界特有の投げやりで
    荒っぽい人間性が出ていた(本当に、こういうタイプ、ディレクターに多い)。
    つまり、人事になど感心がなく、職人的プライドが高い。
    一番印象に残ったのは「東根」の太田鷹史。
    組織率の低い組合の青年部長だが、昔の新劇青年にはこういう役が
    似合う俳優もゴロゴロいたのだが、最近では珍しい。
    「組合臭」(笑)のようなものがよく出ていて感心し、演技的にも惹きつけられた。太田望美は「三沢」の知的な面を、堀内保孝の「北上」は朴訥な純真さ
    を素直に演じて好感が持てる。

    シロ・・・アカに比べて、役者たちは肩に力が入っている印象が強い。
    「本荘」の佐藤正和は、渡辺が「若作りしても服装センスが洗練されてない男」なのに比して、「業界人らしいカッコツケをしてる男」。投票紙の机への置き方にしても渡辺のような荒っぽさはなく、とにかく会議をうまく決着させたいと思っているふうだ。「郡山」の高見菜穂子は美しすぎてアナというよりお高い女優に見えてしまう。声質がアナウンサーらしくないし。だが、今後、ほかの役で観てみたいと思った。
    “根っから組合青年”の太田に比べ、ワダの「東根」は「いちおう組合に
    入っているけどね」というタイプ。太田、ワダで昔の民藝がやっていたような左翼演劇で対立する役を演じさせてみたいと思った。
    日ヶ久保香の「松島」はトイレに落とした携帯電話の扱い方など、川本より几帳面な性格にみせる。「三沢」「北上」を演じる若手2人(馬場渚・松岡努)は一生懸命さが役と重なるが、演技がまだ堅く、青い。
    この組は良くも悪くも「東根」のワダ・タワーの存在が突出しており、彼を中心としたお芝居を観ているという印象だった。
    アカ組で笑いが起こった「鳥羽一郎ネタ」がシロではさほど面白く聴こえず、
    観客の笑いも少なかった。

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