満足度★★★★
リピートしちゃったし…
高校バレーボール部OG会の二次会、大半がカラオケに流れる中、一部のメンバーは高校の体育館に付設された用具室に集まるが、そこは彼女たちにとっては忘れることができない出来事があった場所で…という物語。
事前情報で「過去の出来事によって心に “くらやみ” を抱える」人物たちが「それを乗り越えて歩き出すスタートライン」の話で「and Me的ファンタジー」であり「未来に続く覚悟と希望のお話」だということを知っていたが、確かに今までの4作品とはテイストが異なる。
中心となるパートの16年前を見せるプロローグは、出だしこそ従来に近くて笑えるものの、重い怪我あるいはそれ以上のダメージを与える事故があったことを暗示して、それが以降のストーリーに影を落とす。それによって、かつてなくシリアスな雰囲気が漂って、緊張感がある感じ。(今まではダレていた、というコトではない…念のため)
だからこそ、それを乗り越えて歩き出す(←その表現がちょっと弱い気もするが)結末は優しく、タイトル通りに雪が降るラストシーンは美しい。
が、終盤での「言いたいことを言ったのでいなくならない」香織ともういなくなってしまっている文緒の対比が切ないのはよく伝わるのものの、そこに持って行くための香織と志穂のギクシャクが唐突に感じられないこともない…。
あと、前説アナウンスが本編の内容に合わせて放課後の学校放送(1回目と開演直前でパターンを変えている)な上にアナウンスがない時でもかすかに放課後の校庭のノイズを流している(開演を告げるのはそのS.E.からのチャイムだし)のがナイスアイデア。
なお、高校バレー部時代の出来事が心のしこりになっているのは1ヶ月ほど前に読んだ瀬尾まいこの「図書館の神様」と共通だし、「高校と雪」ということでは「ヘヴィーな『飯綱おろし』」のようでもあり…。
また、2度目には内容を知っているので終盤で見かけが円香のままでも文緒になっている部分に気付いたりもする。
満足度★★★★
ガールズコミックの世界
全員女性で、女同士の話のなかに彼氏の話は出てくるものの、基本的に女の子同士の物語。ガールズコミックの世界で、自分の少ない少女コミック体験のなかでいえば、吉田秋生の「桜の園」でしょうか。自分は男ですが、この物語の女子同士の関係って、やっぱり女子特有のもので、ちょっとうらやましかったりもします。
ラストは、もっとベタに演出して泣かせにかかってほしかったかも。