空白
ジョバンニを観劇しました。
勝手な思い込みなんでしょうが、残された人間たち、と名乗るだけの空虚感、というか、足りなさ、が俳優や空間から満ちてこず(足りなさが満ちないってのも変な言い回しですが)乗りきれませんでした。
映画などの媒体であれば、また違った印象なんでしょうが、生の舞台だったので……
『レクイエム・フォー・ドリーム』からのサンプリングと思われるSEの使い方も、やはり俳優と繋がっていなかったように感じました。
満足度★★★★★
銀河高速道路の夜
タイトルがまんまな通り、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにしたもので、原典にハマっている身として非常に嬉しいと言おうか何と言おうか…。
当日パンフによれば林主宰も賢治作品、とりわけ「銀河鉄道…」がお好きなんだそうで、そんなあたりが非常によくわかると言うか、同好の志として共感(よりも共鳴?)してしまうと言うか、「あぁ、あの部分をこう昇華させたのね」みたいに原典のシーンがわかるヨロコビもあり。
当日パンフの「観劇後に読んでください」的な部分を後から読んで、何度膝ポンしたことか!
内容は、恩師の葬儀に参列しようと夜の高速道路を北上している途中に事故でメンバーの1人を亡くしてしまったワンゲル部OBたちが、その1年後に再び同じルートをたどり…という状況での物語。
現在の様子と1年前の回想、それに主人公が見る幻想の3種類のシーンを組み合わせて一種独特の雰囲気を醸し出しており、地下のスタジオに黒幕を張り巡らせ、四方の壁に沿って基本的には1列のみ客席を配した会場も、いかにも夜のサービスエリア、な感じ。
そんな中で原典のジョバンニにあたる主人公・蓮田の金ヶ崎(=原典のカムパネルラ)に対する追悼の気持ち・喪失感がクッキリと浮かび上がって切なくも美しく優しい仕上がりになっている(そんなところも原典と通ずる)のがイイ。
『模様の様な汚れ』(07年)と同様、2つのバージョンで同じ部分もあり、違うエピソードも挟まれるというスタイルは、左右それぞれの眼の位置で撮った2枚の写真を見る裸眼立体視の如く、基本的には同じながらところどころが異なるものを両方観るとより深く見える、的な。
また、最初のエピソードは異なるのに最後のエピソードがそれぞれのオープニングと対を成しているのも巧いところ。
最後のエピソードと言えば当日パンフで林主宰も語られているように「ジョバンニ」バージョンの夢落ちも原典へのオマージュ的で○。
一方「カムパネルラ」のラストは泣きじゃくる蓮田で、こちらの方が胸に迫るモノがあるか。
ということで、観た順はこれで良かった、と納得。
あと、舞台に複数のモニターを置いて映像を流すのはよくある手法ながら本作では上部にある調整室から床に投影するというワザも使って、事故に遭い倒れている金ヶ崎を見せたのにも感心。この会場の特質を上手く使っているよなぁ…。
満足度★★★★
意外!
「残された人間/ジョバンニ」を観ました。Oi-SCALE は数作品観ましたが、今回が一番好き。どこかの片田舎の不良たちのその後、的な世界を描く劇団かと思ってましたから。まさか宮沢賢治の世界を描くとは。そしてそれがここまでしっかりきっちり出来上がるとは。題材の意外さと、Oi-SCALE らしい映像や照明の使い方がぴったりマッチして、一気に観ることができました。
満足度★★★★
贅沢な演劇空間
「死んでしまった人間/カムパネルラ」を観ました。劇場に入って,まず演劇空間に驚き,そして期待。いいなぁ,客席よりも広いぞ,どんな芝居になるんだろう。芝居内容は,途中までは状況が見えなかったけれど,状況が見えてきてからは納得。観劇後に振り返ってますます納得。これは「残された人間/ジョバンニ」も観るしかないな。さて,いつ行こうか。