不滅 公演情報 不滅」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
21-24件 / 24件中
  • 満足度★★★★

    エレファントムーンが好きな人、ぜひ鵺的も。
    このフライヤーみたく、まったく白紙の状態で観劇して、次々と出て来る言葉たちでパズルを埋めて行く作業が面白いです。ですが、感想は中身に触れないと書けないので、一応改行しておきます。[観劇日時/木曜昼・満席]







    「殺人における加害者と被害者」は、エレファントムーンの近作ともモチーフが似ていて、緊張感ある空気含め、エレファント好きな方はきっと気に入るかと。

    「現実がそのまま現実に着地」するのが前回の鵺的だったんですが、今回の「現実から気付くとファンタジーに着地」する部分もエレファントムーンに似ています。設定上で、リアルに固執しすぎるよりも多少の気になる点も含めてファンタジーにしないと、重過ぎるテーマなんだと両劇団を観て思います。

    加害者に対する肩入れや感情移入、また「彼も被害者なんだよ」的なよくあるセオリーの流れが一切なかったのがよかった。彼自身が自分の不可解でエラーな部分を抱え込んでいるから。だからこそ、彼の恋人が「人の心」についてつぶやく瞬間が、ギリギリのロマンチックだと思うし、あのシーンが忘れられないです。

    ネタバレBOX

    私見ですが、何万人の中にエラーが1人くらい生まれるのは当たり前で。エラーと呼んでしまう自分も自分なんですが、それが冷静な判断だと思うんです。下手に心の闇とか、肩入れして探るのもいいけど、エラーって言いきっちゃう強度も必要だと思うんです。その強度がないと太刀打ち出来ないくらい、酷い事件が多過ぎる訳で。

    そこで鵺的では、加害者に対する肩入れや感情移入、また「彼も被害者なんだよ」的なよくあるセオリーの流れが一切なかったのがよかった。彼自身が自分の不可解でエラーな部分を抱え込んでいるから。だからこそ、菊地未来ちゃん演じる恋人が「彼にも人の心があった」とつぶやく瞬間が、ギリギリのロマンチックだと思うし、あのシーンが忘れられないです。

    ラストは、こちらもセオリーを覆すような展開になるんだけど、『告白』とか読んでる僕らなら、全然許容範囲。設定はファンタジーな部分があるんだけど、あの無言でしか行えない行為たちをリアルに感じます。
  • 満足度★★★★

    殺人の連鎖
    内容は決して希望の持てる舞台ではないが、秀逸な舞台だった。キャストらの演技力は素晴らしい。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    神戸の榊原事件を思わせるような殺意の連鎖の物語。
    美川の娘・京は生きてきた意味が解らない。京の双子の片割れは父親がパチンコに興じている時に、車内で熱中症で死んだ。美川はそれがきっかけになって会社はクビになり女房には逃げられた。そんな父を京は憎んでいる。こんな育ち方をしたからか、高校生の京は捻くれて屈折した精神を抱え、猫を殺した後にも殺人への欲望を募らせてゆく。

    興信所に勤める里見は他人を詮索するのが趣味でテラスに集る人たちの会話を盗聴する。

    一方で17年前に静岡バスジャック事件で6人を殺した犯人・当時17歳だった向井に女房を殺された仲西は向井にヒルのように執拗に取り付いて罵り、暴力を振るい蔑む。ついでに向井の恋人・美紀にも同様に罵倒する。仲西も人間としてクズだったのだ。そんな仲西が里見に説教をするセリフは、まるで自分の事をそっくりそのまま描写しているようなものだから、この部分は滑稽で可笑しくてシリアスコメディそのものだ。笑

    京は仲西と向井の話を盗み聞きしながら、6人も殺した向井を伝説のヒーローのように憧れてしまう。そうして、「命なんてモロイんだと思った。」などと殺人への予兆のようにのたまう。これに危機感を感じた向井は京の殺人を止めさせる為には京を殺して自分の伝説の一部となるべきだ。と死の同調を求めるも、里見が止めに入り、あっけなく阻止されてしまう。

    そして京は遂に仲西を殺したのをきっかけに、次々にムカツクという理由だけであまりにも残忍な殺人を繰り返していく。

    京を一流の殺人鬼にするべく、世界を震撼させる殺人鬼に作り出すことに精力を傾ける里見は京のマネージメントをしながらサポートしてゆく。云わば教団が教祖を奉るように、主犯・京を「我々の神」と呼ぶ里見は1年後、京の父親と向井の恋人の美紀に彼らの現状を報告するも、里見の破壊的精神に危惧し反抗した二人に里見は殺されてしまう。

    登場人物の全てに共感できない。誰もが誰かを罵りながら終に連鎖的に殺してゆく。陰鬱とした悪の魂のようなものを全員が持ち合わせており、全てが悪いほうへ、悪いほうへ・・、と転がってしまうのだ。

    人間として感情のない、つまり、怒りもない悲しみもない愛情も持ち合わせていない、ただただ、淡々と生きてるだけの向井が京の殺人をサポートしている側の人間を一人ずつ殺していくのは彼にとっての正義なのだろうか?

    暗黒にのさばる狂気と殺意が渦巻きながら、精神が破綻した人たちの物語だったが、ワタクシが一番興味があったのは京でも仲西でも里見でもない。向井の無限に閉じた無気力な何も求めない感情や、生きてる意味も死ぬ意味も解らず、何も世の中に期待していない精神に興味があった。それでも淡々と生きているのだ。

    決して楽しい舞台ではない。舞台ではないが、演劇という芸術の一端にもこんな芝居があってもいいと思う。そう思えるほどのめり込んだ。キャストらの演技は秀逸だと思う。アイドル的存在の板倉の演技もしっかりとしておりセリフの歯切れも良かった。評価は割れると思うが、あくまでもエンゲキとしての評価だ。
  • わからなかった
    何が言いたくてやりたいのかわからなかった。途中で寝てしまった。少し観念的過ぎたためであろうか

  • あちゃー、こりゃダメだ
    最後の場面の、ぶっ飛んだ展開に唖然とするか、失笑を隠さずに
    観ることが出来た人は相当凄いと思う。 無茶苦茶過ぎ。

    脚本家が、細かいとことか詰めずに頭の中で考えたストーリーを
    まんま書いたはいいけど、最後まとめ切れなくなって無理やり
    綺麗系で終わらせた感ありありの、なんかマンガかなんかで見たような
    展開でガッカリ。

    ネタバレBOX

    前半からちょこちょこ出てきてたんだけど、台詞も演技もなんか
    バランスが取れてないというか、正直大げさすぎ。

    それに追いつかず役者が噛んだり、身振りが過ぎてもはや
    コメディになってたり、で、また演出が照明落として場面代えて…の
    繰り返ししか無かったんで全体的にすっごく安っぽくなってた。

    あと、人殺して世間を震撼させてヒーローに…っていう展開は
    マンガか何かでよく見るからいいとして、政治家まで仲間に
    引き込んでます…って飛躍し過ぎでしょ。 人殺し少女の
    マネージャー(?)ってただの一介の興信所社員に過ぎないのに。。。
    裏に闇の組織があるにしても説得力が無さ過ぎ。

    思ったけど、脚本家が自分の、「人殺した奴はこうだ」
    「興信所の人間ならこうじゃないか?」、「人殺しにあこがれる少女は
    いっつもこういうことばっか考えてるに違いない」なんかの先走った
    イメージにとらわれ過ぎててギャグになってる。

    イキウメの前川が以前「話に説得力を持たせることに神経を使う。
    それが無ければ物語は破綻し、一気に陳腐化する」というコメントを
    してたけどホントにそれを実感した。 この作品、子供っぽすぎる。

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