ユーモア×アクシデント=愛
大人計画とサモアリナンズなどの遺伝子が流れ着いて、ぐるぐるした世界。三人の男女が見知らぬ部屋で目を覚ますと、一体の遺体を発見。遺体の処理の擦り付け合いをしているうちに、回転を始め踊り狂い三人の渦のような回想劇が始まる。
<A>「文学的な無駄な自意識が故に風俗を始めた女」とハイテンションな店長。客で来た福岡弁のおばちゃんが逃走。
<B>「生きているだけでもめんどくさいレンタルビデオ屋の
店員」が、エロ妄想で頭のおかしい同僚の女の家に招かれる。そこには妄想馬鹿の姉を庇う為に、さらに馬鹿になりきっている弟が暴走しだして、また逃亡。
<C>「ベッドに下に住み着いた小人に困った男」が、小人を見つけ叱責していると、小人の婚約者までもが姿を現す。小さな夫婦漫才ののち、2人は痴話喧嘩を始め、部屋の男と小人男を「フィアンセチェンジ」した小人女は米俵をかついで逃亡。
三組の逃亡した男女は、1人三役×3を繰り返すうちに、演劇の着替えと言う段取りすらバラバラになり、混ざり合い、アクシデントに笑いつつ、再び回転してどろどろに溶けてゆく。
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ストーリー的にはもっとヒントやサジェスチョンが必要だが、構成自体は90年代の演劇への敬意とアクシデントと熱が渦巻いている。実際に洗濯機のなかで回転しているようなクライマックスが、演劇に対して適度なユーモアと「愛」を感じる。
マリッヂブルーという団体の本公演も何度か見ているが、たった三人のみのこの公演は、絞れていて好きです。この路線を断固支持します。
(相対評価を避けるため★はどの公演にもつけていません)