実演鑑賞
満足度★★★★
青年団系劇団の舞台ににユニークな振付を提供していた木皮成が、この度は棟梁となり構築したパフォーマンス。
アゴラ劇場の通常のステージ側(入口の反対側)に客席を組み、建物の3階に当たる会場内ロフトには中央に出力機材があり、世界を統べる佇まいのDJが音を出し、人間界を操る垂直関係が視覚化される。
パフォーマンスのカテゴリーはDanceであり、出演陣は踊れる俳優が主軸。だが、物語進行の各場面は多様なアイデアが盛り込まれる。
全体的な印象は、場面の精度・雄弁さに凸凹がある(鮮やかな瞬間もあるが停滞と感じる部分もある)。ファウストのドラマツルギーと作り手の距離感をもっと知りたく思ったが、題材へのこだわり、情熱を信じるに足る内容ではあった。演出の造形欲求を満たし、俳優の身体を解放する「場」としてのファウストなのか(間借り)、譬えて言うなら永住を前提のレジデンスで取り組む過程に俳優が参与するという関係か。テキスト重視のタイプ(後者)と見えたので、分からなさも含めて受け止めようと言う気になったという訳である。次の一歩を気長に待ってみたい。
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