家族 公演情報 家族」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    痛みの家族
    本来なら幸福な家族像を誰もが望んでいる。しかし、幸福そうに見える家族でも問題の一つや二つは抱えてるはずだ。
    この物語は兄が幼女2人を殺害し、遺体を観覧車の下に埋めたことから、死刑囚の家族となっても尚、この廃墟と化した団地に住み続ける家族の物語である。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    孤独死は多いしキチガイは多いし・・、と嘆く自治会長が汚い団地を少しでも住みよくする為にと、死刑囚の家族の下にやってきては何かと自治会の催しの参加を促す。「あんたらみたいな家族はここにしか住めない」とのたまう。家族の父(後夫)は会長の押し付けがましい態度を疎ましく思っている。妻は疎ましいとは思いながらも、近所と上手く付き合わなければここに居られない、という思いが強い。
    死刑囚の妹は殆ど言葉を発しない。たぶん、これは兄が犯罪を犯したことを知った日からだと思う。
    一方でこの街をうろつく詩人と呼ばれる狂人が居る。この狂人に対して妹はひじょうに優しく接して家の中を自由に出入りさせている。狂人は独特の理解出来ない言葉を発する。しかし、妹はこの狂人を他のニンゲンと比べて純粋と感じてる節があって、その純粋さに惹かれてるようだ。そうして妹は死刑囚の兄を持っていることで異質な者に対する寛大さ、あるいは容認さがそうさせるのかもしれない。
    兄の犯罪から一転して兄は加害者でも妹や家族は世間の白い目を常に意識するという被害者でもあるのだ。
    妹は声にならない悲鳴が喉を突き上げて、息を詰めてそれをこらえたら言葉がでないのかもしれない。屈折した表情と発しない言葉がそれを意味する。

    一方で狂人は言葉にならない言葉を発しながら途方にくれたふうには見えない。自分の境遇を嘆いたり社会を恨んだりしている様子でもない。顔に表情はなくまなざしはぼんやりとして、ほんとうはどこも見ていないような・・・だから逆に、ふつうの人には見えないものをじっと見つめているようにも思える。

    死体を埋めた観覧車の向こうにみえる団地に暮らす家族の物語。

    微妙な位置にいた後夫が本当の家族となるまでの描写、自治会長との軋轢、家族の心理状態を繊細に映した物語だったと思う。しかし、物語の静かで遅い流れが観客の息に合っていないように感じた。見方によっては浅く見え、見方によっては深いのだ。
    なぜなら、傷ついた家族はあまり言葉を発しないから。

    いい作品だけれど、この流れのまま芝居にするには少々難しいような気がする。観客が欲するものはもっと違うものだからだ。


  • 満足度★★★

    シクラメンの花が象徴的!
    劇団のホームページから台本がダウンロードすることが出来る。難解な芝居が苦手という人はそれを読んでから公演に行くといい。

    もちろん、芝居というのは事前に台本など読んでなくても十分面白いものでなくてはならない。しかし、この公演の作者は細かい説明をはしょるというのが作風のようだ。

    パンフレットで詩人と書いてある登場人物がいる。この人物がどういう存在なのかを考えながら芝居を見るというのもひとつの楽しみ方かもしれない。

    シーン転換のたびに象徴的に浮かびあがるシクラメンの花がとても素敵だった。

  • 無音。
    チラシのあらすじに興味を持ったのですが、そこから湧くイメージに到達できないままであったような。

    ネタバレBOX

    観覧車の下から幼女二人の遺体が発見されるという大事件があってその3年後の設定なのだけど、その事件の余韻があまり感じられないので、3年後の静まり返った家族、のはずなんだけどなんとなく元々物静かな家族に思えてしまった。
    当日パンフの挨拶にあるような、死刑制度についても少し触れると今置かれているこの家族がもっと見えてきたような。
    何度も濾過して残った台詞、という印象だけど、観客はそこまで精神を上げていっていないのでやはりもう少し言葉が欲しかった。伝えたいことは漠然とわかるんですが。
    前回の「日本の言葉」はそれほど苦にならず。

    また、冷房は消すので昼の公演はキツイかもしれません。明日以降少しテンポ上げるのかどうかわかりませんが。1時間20分。


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